No.13 / 2001.09.17

皆さん、こんにちは。今号は、米国同時多発テロ事件関連の特別編集です。
****** global middle east ****************** issue No.0013***********
グ ロ - バ ル  ミ ド ル イ ー ス ト
*** From Erico Inc. Editor/ Keiji Shintani ***** 17/09/2001*********

◎中東が世界を動かし、世界情勢は中東に反映される・・・

ということをひとりでも多くの方に認識して頂きたい、これが、グローバルミドルイーストという名のニュースレターを発刊してきた動機です。中東では10年に一回、大きな事件が起きます。今回も事件が起きて以来、慌てて原理主義がどうのこうのと、喧しいことこの上ありませんが、またそのうち忘れ去られてしまうのでしょうか。中東は、これからも世界の中心であり続けます。この地域は、今も昔も人類の歴史の中心軸であります。

◎米国政府に反省と外交政策の再構築を慫慂する

いつものように、アラブのお客様に広島平和記念資料館をご案内していた時のことでした。「なぜ、広島に原爆が投下されたか・・・。当時米国は、秘密裏に原子爆弾の開発を進めていました。この計画は『マンハッタン・プロジェクト』と呼ばれていました・・・。」

アッと、声をあげてその不思議な符合に打たれました。石原都知事の、「今回の米国におけるテロ事件は、非人道性において米国の原爆投下と同じ」という趣旨の発言を聞いた直後でした。「米国はマンハッタン計画という名で大量無差別殺戮を行い、そのマンハッタンは57年の後、カミカゼ攻撃による大量殺戮の舞台となった・・・」。なんという歴史の符合でしょう。

今回のカミカゼ攻撃を、真珠湾攻撃以上の「蛮行」として米国に正当な報復を行う権利があるかの如き世論操作がなされていますが、先の大戦を経験し、またそのことについて少しでも勉強した日本人にとっては、とても受け入れられる論理ではないと思います。

近代、現代史において、大量虐殺が行われた例は数々ありましょうが、米国(強いて挙げれば英国も)は、常に国家の権利としての戦闘行為を正当化する論理を求め、一貫して軍備を拡張し、あちこちで無辜の市民を殺戮してきました。積み上がる一方の国防費。物理的な攻撃と、政治的な非道によって、いかに多くの人々が苦しみ、死に追いやられてきたことでしょう。

無辜の人命を奪うことは、どのような理由があっても許されてはなりません。アラブ諸国は、その痛みを知るが故、今回のテロ攻撃を非難する、としています。しかし、「自由社会を守る」というようなスローガンの下に、更に多くの尊い人命が踏みにじられることをどうして許容できるでしょうか。

私は、事件で犠牲になった方々とそのご遺族のことを思うと、とても口に出せないと思ったのですが、更に多くの犠牲が出るとすれば、亡くなった方々の死を無駄にすることですから、ここは正直な感慨を述べるべきだと思います。見事な作戦を成し遂げた「フィダーイイーン」(殉教者たち)に強い関心があります。雌伏八年間の後、家族も捨て、20人余が一致団結して命と引換えに世界に米国の真の姿を晒すことに200%の成功をしたのは、四十七士の討入りと共通するものがあると感動したのは、私だけでしょうか。彼らがどのように準備し、どのような思いで散って行ったか、知りたいと思います。

その時、御公儀が間違いを認めなかったのと同様、米国は、間違いを認めるどころか、一層その迷走のスピードを上げるでしょう。しかし、そのような米国のリーダーシップで世界は決して治まらないことを、今度の「テロ事件」は示しました。リーダーには、徳がなければなりません。尊敬されなければなりません。米国のやり方は、恐怖政治で国内を締め付けるサッダームの手法と何ら異なるものではありません。

米国は、いつまでテロ対策のための厚いコンクリート壁や、武装兵士、頻繁煩雑な保安チェックによって日常生活の安全を守ろうというのでしょうか。国防費、保安費を倍増しても、安全は得られません。しかし、中東から軍を引けば、安全はいとも簡単に確保できます。いや、せめて中東和平やイラク問題に公正な立場をとると表明するだけで、無用な血は流れずに済むのです。

●南レバノンのヒズボラは、16日声明を発表した。要旨(エリコ通信社訳)ヒズボラは、世界のどこであれ、無辜の市民が殺されることには深い悲しみを覚える。それは、過去22年間にわたって占領と殺戮に対する抵抗運動を率いてきた経験から、その辛さを身にしみて知っているからである。

この間南レバノンでは、多くの無辜の市民がイスラエル軍によって虐殺され、一回の攻撃で村民100人以上が死亡したこともあったが、米国は、安保理においてその行為を非難する決議成立を妨害した。

国際社会が、米国が今回の事件への正当な報復の美名の下に更なる犯罪的行為を犯すことを許さないよう注意することを望む。

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◎【マアルマート協議会親睦会の開催】
(8月22日/水)多数のご参加を得て、モロッコの一夜を堪能させて頂きました。台風をおしてご参加頂いた皆様、誠にありがとうございました。ゲスト・スピーカーのギズレーン女史(三菱商事ご勤務)に、モロッコのマアルマートを供出頂いておりますので、みなさんで共有していきたいと思います。2002年マアルマートツアー(4月17日~30日)の日程は、下記、エリコ通信社HPにて公開しております。多数のご参加をお待ち申し上げます。
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好著紹介<トップ・レフト-ウオール街の鷲を撃て->黒木亮 著  祥伝社

ロンドン在住の国際金融マンである著者の本格デビュー作である。黒木さんは、早稲田大学からカイロアメリカン大学中東研究科へと常に小生の先を歩いてこられた先輩。ご指導頂いたカイロ時代がなつかしい。

なぜ、わが国がかくもみじめな経済と外交に甘んじているのか、本書にズバリその答えを見つけた。胸のすく好著である。八重洲ブックセンターの新刊本ベストテンの上位を長くキープ、相当売れているらしい・・・。書評→ http://www.amazon.co.jp (トップ・レフトで検索する)****************************************************************
●現地発! エジプト観光情報誌『ルクソール・マガジン』ホームページhttp://www.cycle.com/luxor/  又は神田神保町・アジア文庫にて発売中

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