アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
19日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ エジプトで列車事故、1か月足らずで3度目。保健省は「11人死亡、数十人負傷」と発表。鉄道局長官が辞任
■ ウィーンで、イランの核合意順守への復帰と引き換えに解除しうる米の制裁リスト作成に向けた作業グループの取り組みが続く。米高官は協議を「建設的で真剣」と評価
■英紙ファイナンシャル・タイムズ、「サウジとイランがバグダッドで直接協議を行った」と報じつつ、「サウジ高官はこれを否定」と説明。ロイター通信は、欧米外交筋の話として「両国はイエメンとレバノンの問題を集中的に協議した」と報道
■米の大統領補佐官と国務長官、「テロの脅威が戻るのを防ぐため、アフガン撤収後に米軍を再配置する」と予告
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―外交筋によると、ウィーンでの核合意当事国の協議の流れで形成された作業グループは、合意成立の促進を目指して会合を続けている。これらのグループは、米が解除しうる対イラン制裁と、それに対応してイランが核合意完全順守への復帰に向けて取りうる措置に関して、技術的課題を話し合う予定。イランはこの件に関して、2つのプロセスからなる案を提出している。同国のガリブアバディIAEA担当大使は、「ウィーンでの協議は、制裁解除に関する明確で透明性のある図式を描くことを目指すものだ」と述べた。
―サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)はFOXニュースのインタビューで、ウィーンで現在行われている核合意をめぐる協議を「建設的で真剣なもの」と評価した。
―米ニュースサイト「アクシオス」によると、イスラエルの軍事情報機関とモサドの関係者らが治安担当の縮小閣議に出席し、「現在のウィーンでのイランと諸大国の協議の結果、米は核合意に復帰するだろう」との見通しを示した。閣議に出席した高官らは、「イランと諸大国の間で、数週間内に取引が成立するだろう」「イスラエル政府はこれを非常に懸念し、イランの政権に圧力をかけ続けるよう米を説得する試みを行っている」と述べた。
―イラク治安広報局は、「サラーハッディーン県のバラド空軍基地がロケット弾で攻撃され、警備隊の2人が負傷した」と発表した。同国治安筋によると、同基地に向けて自走式多連装ロケット砲「カチューシャ」からロケット弾5発が発射され、うち3発が基地内に着弾した。同基地には、イラク軍に属するF16戦闘機が配備されている。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―英紙ファイナンシャル・タイムズは、事情に詳しい高官らの話として、「サウジとイランの高官らの間で直接協議が行われた」と報じた。記事によると、サウジ代表団を率いていたのは、フメイダーン総合情報庁長官。協議の初回は、5年に及ぶ外交関係断絶後の関係修復を目指す試みとして、今月9日にバグダッドで開かれた。ホウシー派のサウジに対する攻撃も議題となった。協議の結果は「前向きなものだった」とされる。両国は来週に新たな協議会合を開くことで合意。但し、同紙によると、サウジの高官は自国とイランの間の協議の存在を否定した。イラクは、イランとエジプト、イランとヨルダンの間の連絡チャンネルを開くのにも便宜を図ったとされる。
―(上記に関連し)ロイター通信は、イラン高官と域内の2つの筋の話として、以下のように報じた:サウジとイランの高官らは今月9日、両国間の緊張緩和への試みとしてバグダッドで直接協議を行った。ハイレベルではない会合で、イラクの要請で開かれたもの。イエメン・レバノン関連に重点に置いて話し合われたが、大きな進展はなかった。域内の欧米の外交官の1人によると、米と英はサウジとイランの協議のことをあらかじめ知らされていたが、結果については知らないという。
○ エジプト情勢
―カイロ北方のカリユービーヤ県トーホで、カイロから北部マンスーラに向かっていた列車が脱線する事故が発生した。1か月で3度目の列車事故。保健省の発表によると、11人が死亡、約100人が負傷した。国内メディアは「死者は16人に達した」と報じ、消息筋の話として「初期の調査は、改修工事が行われていた地域を列車が高速で走っていたことが原因であることを示している」と報じた。シーシー大統領は、事故の原因を調べるための委員会設置を命じた。鉄道局長官は辞意を表した。列車の運転士と助手に加え、交通輸送責任者の8人が拘束された。
鉄道専門の作家クリスティアン・ウォルマー氏(ロンドン):
衝撃的な事態だ。世界的に鉄道が安全となり、事故はめったに起こらなくなっている状況に反して、エジプトでは短期間に事故が繰り返されている。同国では、鉄道の状態、そして安全への関心の程度に問題がある。同国で事故が多発するよ うになったのは、おそらく最近30~40年ほどのことで、以前はそうではなかった。エジプトには他国の支援が必要だ。欧米等からの能力の高い顧問の助けを借りる必要がある。また、現在の措置の見直しも必須だ。一般的に事故は人為ミスによって起こるものだが、適切な安全措置があれば大きく減少する。
―マフディ・スーダン外相は、AU加盟諸国の大使らとの会合で、「ルネッサンスダムに関するスーダンの姿勢は不変。2度目の貯水に先立って拘束力のある合意に達する必要があるというものだ」と表明した。同国外務省の筋は、アルジャジーラに「スーダンは、ダムをめぐる交渉の困難について安保理に伝えた」と述べた。一方、アビー・エチオピア首相は、「ダムの2度目の貯水は雨季の7月から8月にかけて行われる」と述べた。
○ 中東和平(占領地情勢)
―特になし
○ 国際テロ・過激主義情勢
―サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は、「米軍撤収後にアフガニスタンで起こりうることに関しては、誰にも保証できない」「アフガニスタンが自国を防衛できるよう、米は出来る限りのことをした」と述べた。
―ブリンケン米国務長官はABCニュースのインタビューで、「米を標的とするテロの脅威がないことを確認するため、米軍とリソースをアフガン撤収後に再配置する」「米にはテロがアフガニスタンに戻らないよう監視できる」と述べた。
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
―米誌「The National Interest」は、「米中の大戦争はなぜ世界を終わらせるか?」と題して、米中間で起きる武力衝突が世界的な惨劇に発展する可能性を警告している。記事が特に緊張を憂慮しているのは太平洋地域で、米とその同盟国の「自由航行主義」と中国の海洋進出が衝突している。米国は1350発の核弾頭を有し、中国のそれは45発である。(アルジャジーラ・ネット)
The National Interestの原典:
中東の新型コロナ動向
―国別感染状況(リビア)
累計新規感染者数:171,880人(24,748人)、累積死者数:2,896人(417人)(カッコ内は人口百万人あたり)新規感染者数で見るリビアにおける新型コロナの広がりは、隣国チュニジア同様、欧米や一部中東諸国より遅れて始まり、顕著に感染者が増え始めたのは20年7月初めであった。その後、10月25日に1,639人を記録するピークを迎えて以降は1日平均700~1,000人超の高い水準のまま推移している。
17日、リビアで新型コロナのワクチンの一般接種(全国キャンペーン)が始まった。接種されるワクチンは、スプートニクV、アストラゼネカ、シノヴァックの3種類。リビアでは10日に接種開始が宣言され、ドゥベイバ首相が最初の一人として接種を受ける姿が公開されたが、この日より市民一般への接種が全国430カ所の会場で始まった。(デイリーサバーハ)
<特記事項・気付きの点>
―特になし