アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
23日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ スーダン、ルネッサンスダム問題をめぐって緊急会合を開くよう安保理に要請し、2度目の貯水によって地域の安定が揺らぐ危険性を警鐘。エジプトは「ダムをめぐる交渉でエジプトが見せた柔軟性に、エチオピアは頑固さで応じた」と非難
■ イスラエルの治安部隊、エルサレムのシェイク・ジャッラーハ地区に突入し、強制退去に脅かされているパレスチナ人の家族らに連帯する人々を地区外に退出される。国連はこの展開への懸念を表明
■リビア問題が新たにベルリンへ。リビアでの選挙に先立ち2度目の国際会議。同国外相は軍の統一、外国部隊撤収の日程等の計画を提案へ
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―特になし
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―ザイヤーニ・バーレーン外相は、「ムハンマド・カタール外相に公式な招待状を送り、2国間の会合を開くため代表団をバーレーンに派遣するよう求めた」「ウラーで(今年1月5日に)開催された湾岸協力会議(GCC)首脳会談で出された宣言を履行してGCCの歩みを強化するため、両国間の懸案事項を解決することが目的だ」と発表した。
○ エジプト情勢
―スーダンは国連安保理に対し、ルネッサンスダムをめぐる対立を協議するため可及的速やかに会合を開くよう要請。同国のマフディ外相が安保理議長国に書簡を出した。その中には、「ルネッサンスダムはスーダン・エジプト・エチオピアの数百万人の身の安全に影響する」「同ダムの一方的貯水は地域・国際の安全への脅威となるため、エチオピアに停止を呼びかけるよう安保理に求める」「ダムをめぐる交渉で残っている課題を解決するための適切な仲介者を探すよう求める」と記されていた。
―スーダン外務省のファールーク・ルネッサンスダム問題担当報道官は、アルジャジーラのインタビューで、「スーダンには軍事的選択肢はない。我々は終始一貫して交渉と合意を選ぶ。但し、これには信頼と政治的意思が必要だ」「エチオピアが事態を真剣に受け止めることを望む。これは我々に重大な影響をもたらすことだからだ」「スーダンは、手をこまねいているつもりはない」と述べた。
―エジプトのアブドルアーティー水資源・灌漑相は、訪問先の南スーダンでの同国政府高官らとの会合で、「エジプトはルネッサンスダムに関する交渉で大きな柔軟性を示したが、エチオピア側はあからさまな頑固さでこれに応じた」と非難しつつ、「エジプトは自国の水利権を手放さない」「全員の発展への望みを満足させて全員の利益を実現するような、法的拘束力のある公正な合意を成立させるべく、交渉を完了させることを目指す」と述べた。
○ 中東和平(占領地情勢)
―イスラエル警察の部隊は22日、同国議会のアラブ系のサーミー・アブー・シャハーダ議員の随行団がエルサレムのシェイク・ジャッラーハ地区に入るのを禁じた。同議員は地区内のパレスチナ人の家族らを支援するためにヤッファから来ていたが、随行団なしで地区内に入ることを拒んだ。これに先立ちイスラエルの部隊は、同地区に突入し、没収される危険のあるパレスチナ人の家々に立ち入って調査を行い、外部から来ていた住民への支援者・連帯者らを地区外に退去させた。イスラエルの部隊は同日、議会の過激派の「宗教シオニズム党」議員2人が入植者の集団を率いて同地区に入る際に警備を行い、彼らがクルド家(パレスチナ人の活動家ムナー・クルド氏らの一家)の住宅に侵入することを許している。
―ドゥジャリク国連事務総長報道官は、「国連はエルサレムのシェイク・ジャッラーハ地区での情勢を注視しており、彼の地での暴力行為に対して深い懸念を抱いている」「政治・社会の指導者らは暴力・扇動に対峙しなければならない」と述べた。
―ガザ地区のパレスチナ諸派は会合を開き、イスラエルがガザ封鎖解除を遅延させ、以前合意した措置を守らず、復興作業を阻害することへの警告を発し、「抵抗勢力は起こっている出来事に対して黙ってはいない」と表明した。また、ベネスランド国連中東和平担当特別調整官がハマースとの会合で述べた内容について、「イスラエルの政策と一体化している」と反発を示し、「国連はイスラエルを『恥のリスト』(子どもと武力紛争に関する国連事務総長年次報告書)に載せず、同国に同調している」と非難した。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―特になし
○ マグレブ情勢
―ベルリンで23日、リビアをめぐる国際会議「ベルリン2」が開催される。昨年1月に開かれた「ベルリン1」以降にリビアで行われた政治プロセスの成果と今年の年末に実施予定の議会・大統領選挙の準備をめぐって協議が行われる。会議の声明の草案は、外国部隊のリビアからの調整の上での撤収と人権侵害を犯した者らの処罰を呼びかける内容。欧州諸国への訪問を開始したブリンケン米国務長官は、同会議に出席する予定。リビア挙国一致内閣のマングーシュ外相は、軍の統一と外国人部隊・傭兵らの撤収日程の決定を目指す「リビアの安定」と題したイニシアチブを会議で発表する予定。
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―ハムドゥーク・スーダン首相は、「移行段階を守って国家を安全な場所に脱出させるための国民的プロジェクト実現に向けた包括的イニシアチブ」を発表した。その主要な項目は、革命勢力の統一、治安・軍事機関の改革、意思決定機関の統一への呼びかけからなる。このイニシアチブへの反応は様々で、「革命の目標達成の手段だ」と評価する人々もいれば、「政府が国の統治に失敗した証拠だ」とする意見もある。
―(字幕速報)汚職容疑で起訴されていたモーリタニアのアブドルアジーズ前大統領、投獄される。
エリコの目
―ハメネイ体制は、「ライシ師を当選させることができたが、結果、正当性を失った。」ライシ師の当選によっても、ハメネイ師と革命防衛隊が結託した支配体制は変わらない。反対意見を封じ、子飼いのライシ師を国民に選ばせたことで、ハメネイ師はバッファーを失った。今後同国が抱える様々な問題を前に、ハメネイ師は国民に言い訳ができなくなる。(ヌーンポスト)
中東の新型コロナ動向
―チュニジア政府は内陸4県(ケルアン、シリアナ、ザグワン、ベジャ)を完全に隔離する、と発表した。同国では人口10万人当たりの新規感染者数が400人を超える日が14日連続で続いている。これらの県では変異型ウイルスが流行しているものとみられ、当局は型の特定に向けた検査 体制を強化する。21日、チュニジアでは80人の死者を記録、累積死者数は14,118人となった。(人口百万人当たり1,169人。参考:ブラジル
2,340人、インド 278人、日本 114人)(アッシャルク・アルアウサト紙他)
<特記事項・気付きの点>
―特になし