アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
25日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ 米、フーシ派を「イエメンにおける正当な当事者」として認め、「停戦合意に至るべく同派に圧力をかけるよう」呼びかけ。同派は「イエメンでの戦争の責任は米にある」と非難
■ パレスチナ人活動家がパレスチナ治安機関に拘束された後に死亡したことを受け、抗議行動が活発に。国際社会は独立した調査を求め、パレスチナ治安機関は死亡状況の究明を約束
■ リビアに関するベルリン会議の後、リビアと米・英が同国の外国人傭兵について協議。米は露の役割に懸念を示し、露は「バランスがとれた、よく検討された形での傭兵の撤退」を主張
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―米国務省の高官は電話による記者会見の中で、「米はイラン核合意をめぐる協議を継続し、包括的合意に至る必要があるが、未だにこのような段階には達していない」「現在行われている取り組みは、いつまでも無期限に行われるわけではない」「イランとの合意が成立しない場合、どのように前進させるかを検討するつもりだ」と述べ、「核合意の順守のためにイランが採るべき措置に関して、同国との深刻な対立がある」と明らかにした。また、「イランがIAEAとの合意に達することを望む。対立は状況を混乱させるからだ」と述べた。更に、「イラン大統領が誰であろうと影響はない。主要な決定権を持つ者ではないからだ」「米はイラン核開発計画への対処に関して、イスラエルと緊密に取り組む」と述べた。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―レンダーキング米イエメン担当特使は、「米はホウシー派をイエメンにおける正当な当事者であり、大きな利益を実現した集団として認めている。同派が紛争から遠ざかることを誰も望めないので、我々はこのような現実に対処すべきだ」と述べた。また、同派に対して「和平実現に向けて国連が主導する取り組みを支援するよう」促し、国際社会に「全面的な停戦に同派を参加させるべく圧力をかけるよう」求めつつ、「同派だけが暴力の責任を負っているのではなく、サウジ率いる同盟軍がこの責任の一端を負っている」と述べた。
―ブハイティ・フーシ派政治局広報担当は、「我々は米によって正当性を認められることを望んではいない」「米が同派を認めたことは、我々にとって何の意味もなく、このような米の立場に関心はない」「関心があるのは、米がイエメンに敵対行為を働き、封鎖し、飢えさせていることだ」「米は、当初からイエメンに対する戦争の第1の責任者だ」「宣戦布告はサウジではなく米から発出された」と述べた。
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―ドウェイカート・パレスチナ治安機関報道官は、「シュタイエ・パレスチナ首相は、政治活動家ニザール・バナート氏がヘブロンで治安機関に拘束された後に死亡した件を調査する中立的な委員会の設置を命じた」「政府は委員会の調査結果に基づいて、いかなる措置を講じる用意もできている」「人権団体が調査に加わることに何ら支障はない」と述べた。同氏の家族は、「同氏が就寝中、治安部隊がヘブロンの自宅に押し入って激しく殴打し、拘束した。その後、同氏が死亡したことを伝えられた」と述べている。同氏はこれより前にも何回か拘束されており、死亡する数日前にも、コロナウイルス・ワクチンへの政府の対処を非難する映像を公開していた。
―パレスチナ警察はラーマッラのマナーラ広場からパレスチナ大統領府に向かっていた同氏の死に憤るデモ行進を解散させた。また、パレスチナ治安機関はラーマッラ中心部から大統領府に向けた夜間デモを弾圧した。デモ参加者らは「同氏の死亡の責任はパレスチナ政府にある」とした。
―米国務省は上記に関して声明を出し、同氏の死亡とその状況に関して深刻な懸念を表明し、パレスチナ政府に透明性ある包括的な調査の実施と説明責任を果たすよう促した。
―ベネスランド国連中東和平特別調整官はツイッターで、同氏の死亡に懸念を表明し、「これに関して、直ちに透明性のある独立した完全な調査を実施するよう」促した。また、在エルサレム英総領事館のホール総領事は、「同氏の死亡に関して、迅速で透明性のある調査が必要だ」と述べた。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―特になし
○ マグレブ情勢
―リビアに関するベルリン会議が、同国の外国人傭兵の問題で何ら進展のないまま閉幕した後、ドベイバ・リビア挙国一致内閣首相は、この問題に関してブリンケン米国務長官とジョンソン英首相とそれぞれ会談した。米国務省は、「リビアから外国人勢力は完全に撤退すべきだ」と確認し、同国における露の役割に懸念を表明した。また、英首相とも、同国からの外国人傭兵の撤退と軍の再統合の必要性を確認した。一方、ヴェルシニン露外務次官は、「撤退は、リビアで形成されたパワー・バランスが崩れないよう、段階的に、よく検討された形で行われるべきだ」と述べた。
関連レポート要旨:米はリビアで何を望んでいるのか。米がリビア問題に傾倒している目的は、バイデン大統領が表明した「世界における主導権を取り戻す」ということ以外はまだわからない。ブリンケン米国務長官はベルリン会議の後、ドベイバ首相との会談を望み、首相も「リビア問題(の解決)への米の建設的な参加」を歓迎。オバマ・トランプ両政権下では、同問題は内政問題として、リビアでの出来事に関する発表は余りなかった。しかし今、様子が一変し、米はトルコ軍を含む外国軍のリビアからの撤退を望んでいる。ブリンケン国務長官下の米国務省は、「リビアには数千人の傭兵がいる」としており、リビア問題を「露との争いの切り札になった」として、同問題に関してUAEやトルコとの「静かな外交」を通じて取り組んでいる。
リビアには実際にトルコ軍が存在しているが、サラージュ前政権はそれを「トルコとの合意に基づいており、合法である」とした一方で、敵対する(ハフタル派)側は「ハフタル氏との合意に基づいて、傭兵は存在している」としていた。しかし、今回のベルリン会議では「これら全てはもはや望まれた存在ではない」とし、ドベイバ首相は英首相にもこれを伝えた。ドベイバ首相の計画は、「統一された軍司令部の下でのリビア部隊の統合には、外国人部隊の撤退がまず先決だ」との明確な土台の上に成り立っている。これに関して(会議で)合意が見られても、ハフタル氏に自身の部隊を解体させ、軍から手を引かせることに着手することは難しいだろう。同氏への露・UAE・エジプトからの支援はだいぶ縮小されたとされている。昨年夏のトリポリに対する作戦が失敗し、同市の苛酷な封鎖が解かれたことは、同氏の同盟者たちを失望させた。同氏が再び舞台に戻るのかどうかはわからないが、米の危機への介入は、同氏のこの先のいかなる試みも混乱させるだろう。
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―ムフティ・エチオピア外務省報道官は、スーダンがルネッサンス・ダムに関して国連安保理に緊急会合の開催を求めたことに対し、「水もルネッサンス・ダムもアフリカのものであり、スーダンがアフリカ以外にダム問題を持ち込んだのを疑問に思う」「国連安保理は国際的な平和と安全を維持する役割を担っており、開発計画に介入する権限はない」と述べた。一方、スーダン外務省は、「国連安保理への書簡は、AUの役割を縮小させることではなく、ダムの危機の解決に向けたAUの取り組みを強化することが目的だ」「AUの取り組みが行き詰まったことを受け、地域・国際的取り組みが危機打開に貢献できるとスーダンは見ている」「特に来月中に実施予定のダムの2回目の貯水などのエチオピアによる一方的な決定に対して、国際社会に支援して欲しい。それはスーダンの人口の半数と国家安全保障を脅かすからだ」「国際法に基づく拘束力ある合意の締結のために平和的手段を見出すよう、国連安保理に求める」と述べた。
エリコの目
―ベルリン2会議最終声明では、参加国が一致してリビアの外国軍撤退、傭兵排除を呼び掛けたが、リビアの専門家は、「リビアから唯一の統一政府が参加したという点は進歩だが、決議内容の実施のメカニズムについて何ら合意出来なかった点には失望だ。それが進展しない限り、政治プロセスは前進しない」と述べた。(アラビー21)
中東の新型コロナ動向
―イランのマランディ医学アカデミー会長は、ハメネイ師が今後数日のうちにイラン製のワクチンの第一回接種を受けるだろうと述べた。またハメネイ師が「外国のワクチンを接種することを拒否しており、その中には友好国・同盟国で製造されたものを含む」と明らかにした。イランが輸出も予定している抗新型コロナ・ワクチン「パストコヴィック」は、イラン・パスツール研究所とキューバのフィンラ研究所の共同開発にかかる製品で、キューバで4万4千人、イランで2万4千人が2回の接種を成功裏に終えている。(アルマヤディーン・ネット)
<特記事項・気付きの点>
―特になし