アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
1日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ 米、アフガニスタンでのタリバンの支配地の急速な拡大に懸念。北部での治安情勢悪化を受け、アフガン政府軍の300人がタジキスタンに避難
■サウジ・エネルギー相、原油生産の行方を決めるOPECプラスの会合が数時間後に迫る中、「UAEが足並みを乱した」と非難。UAEエネルギー相は「我が国は周囲に合わせて不当な扱いに甘んじるつもりはない」と表明
■ エチオピア、ルネッサンスダムの2度目の貯水遂行に向けて最高度の警戒態勢を敷く。エジプト・スーダン両国の外相は安保理会合に出席するためNYへ
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―ロイター通信によると、イラクのアブドルジャッバール石油相は、OPECプラスが現行の協調減産を来年末まで延長することと、来月から日量40万バレルの増産(減産縮小)を行うことに同意した。
―ザンギャネ・イラン石油相は、「核合意再生に向けた合意の下で米の制裁が解除された際、極めて短期間で原油を増産する能力を確保するため、多くの措置を講じた」「イラン経済は尋常ではない問題に苦しんでいるが、原油生産量を日量600万バレルまで容易に増やせる」と述べた。
―シリア国営テレビは、「デリゾールのオマル油田にある米軍基地がロケット弾2発で攻撃された」と報じ、シリア北東部の上空を米軍機が飛行したことに言及した。「シリア民主軍」(SDF)の広報局も、「出所の不明なロケット弾2発がオマル油田の西側に着弾した。SDFに人的被害はなかった」と発表した。一方、米国防総省報道官はこれに関するアルジャジーラのインタビューで、「シリア駐留米軍が4日になんらかの攻撃を受けたことを示す報告は一切ない」と述べた。
―アルジャジーラは検証番組「ゼロ・ディスタンス」の新たな回「ユーフラテスの東」(5日0405JST放送)で、SDFがシリアの対トルコ国境沿いの一帯に113キロに及ぶ大規模なトンネル・ネットワークを作り上げた事実を明るみに出した。また、トルコの国境付近の町ヌサイビン方面に向かう一連のトンネルの存在も明らかにした。さらに、SDF支配地域で強制失踪や強制的な徴兵が行われていることも突き止めた。
―ベイルート港での大規模な爆発から11か月(2020年8月4日発生、200人以上死亡)、犠牲者の遺族らが港の前でデモを行い、「開いた傷が無視されていること」に抗議するスローガンを掲げた。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―マズルーイUAEエネルギー相は、「OPECプラスに対し、協調減産の延長に関する決定を次の会合まで延期するよう提案した」「国際市場は原油増産を切実に必要としており、増産を現在の合意の2022年末までの延長と結びつけるのは公正ではない」と述べた。UAEが自国の生産割当量の増加を見込まない案を全て拒否する姿勢を示した後、OPECプラスの会合は5日に延期された。
―サウジメディアによると、同国のアブドルアジーズ・エネルギー相は上記のUAEの姿勢を激しく非難し、「現在の協調減産を延長するというサウジと露の提案はUAE以外の全ての加盟国の賛同を得た」「いかなる国にも1か月の生産量の水準を(減産の)基準にすることは出来ない」「34年前からOPECプラスの会合に出席しているが、この長い年月の間にUAEが出したような要求は見たことがない」と述べた。
―イエメン政府軍の広報センターは、「政府軍は人民抵抗勢力の支援を受けて軍事作戦を開始し、ホウシー派との戦闘の末、中部バイダー県の県都バイダー市の東側と西側の戦略上重要な高地等の広範な地域を制圧した」「政府軍は同市東側のソウマア郡の諸地域を制圧し、西側のザーヘル郡で前進した。また、各種の武器や弾薬、軍装備を奪還した」と発表した。
○ エジプト情勢
―エジプト・スーダン両国の外相は、8日に予定されているルネッサンスダム問題を協議する安保理会合に出席するためNYに向かう。一方、エチオピアの同ダムが所在するベニシャングル・グムズ州のアスラト軍司令官は、「エチオピア軍はルネッサンスダムの2度目の貯水遂行に向けて最高度の警戒態勢を取っている」と声明した。
○ 中東和平(占領地情勢)
―パレスチナ収監者・元収監者担当委員会のアブー・バクル委員長は、61日前からイスラエルの刑務所でハンストを実行しているガダンファル・アブー・アトワーン氏の健康状況悪化を警告。「収監者の生命については、全面的にイスラエル当局に責任がある」と表明し、同氏の即時釈放に向けてイスラエルに圧力をかけるよう国際社会に求めた。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―アフガン駐留米軍のミラー司令官はABCニュースのインタビューで、アフガニスタンでタリバンの支配地域が急速に拡大していることへの懸念を表し、「軍事的な制圧に突き進む状況では、アフガニスタンの未来が良いものになるとは思えない」と述べた。
―治安筋によると、アフガニスタン北部のタジキスタンとの国境に接するバダフシャン州でのタリバンの前進による情勢悪化を受け、同国政府軍の兵士約300人がタジキスタンに避難した。アフガン大統領府の声明によると、ガニ大統領はタジキスタンのラフモン大統領と電話会談を行い、同州での治安情勢をめぐって協議した。
―タリバン政治局のナイーム広報担当はアルジャジーラのインタビューで、「タリバンはアフガニスタンの国土の7割以上を支配している」「一部の方面から表された懸念は、敵の言いがかりやデマに基づくものだ」と主張した。
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
―イスラエル軍事筋によると、コハビ参謀総長が約1週間ワシントンを訪問し、イラン攻撃計画を含む、米国のイラン核合意復帰に関するイスラエルのメッセージを伝達した。参謀総長は、イスラエルのイラン攻撃に関する計画の3つのパターンを示すと共に、その計画は前政権によって予算がつけられているだけでなく、新政権が追加予算を決定する見通しであることを明らかにした由。(アッシャルク・アルアウサト紙)
中東の新型コロナ動向
―モロッコについては、ワクチン接種を早期に進めた結果、感染が理想的な形で抑えられている状況について報告した(5月12日、No.21042)。し かし、最近では新規感染者数が3日に951人を記録するなど、感染の再拡大がみられる。現在患者数(アクティブ・ケース)も5月中旬の水準から倍増した。(3日、5,491人)
<特記事項・気付きの点>
―特になし