2021年8月8日 (No.21130)

アルジャジーラ・モニタリング

<ニュース・ヘッドライン>

8日0600JST「ミッドナイト・ニュース」

■ 国際社会がレバノン・イスラエル国境情勢の深刻化を警告する中で、ヒズボラ書記長は「シェバ農場攻撃は交戦規定の定着化が目的」と述べ、「レバノンの国内情勢がどうであれ、イスラエルからのいかなる攻撃にも反撃する」と警告

■ イラン、「イスラエルのタンカーはイラン製の無人機による攻撃を受けた」とする米の報告を否定し、「イランは湾岸の航海の安全保障に関わっている」と述べる。英は改めてイランを非難し、責任追及を示唆

■ アフガニスタン政府、「米がB-52爆撃機を派遣し、アフガニスタン北部を空爆した」と明らかにする。タリバンが1日のうちに2州の州都を制圧したと発表した数時間後のこと

<特定関心項目報道ぶり>

○ 日本関連報道

―特になし

○ イラン・イラク・シリア情勢

―イラン軍報道官は、先月末にオマーン沖で起きたイスラエルのタンカー「マーサー・ストリート」攻撃へのイランの関与を改めて否定し、「同攻撃に使用されたイラン製無人機の一部を発見したという米の主張には根拠がない」「我々は、イラクのアイン・アルアサド基地を攻撃した時と同様に、自分たちが実施するあらゆる作戦について発表し、何事も隠すことはない」「イランは、湾岸における航海の安全の保護に関わっている」と述べた。これより先に、米は「同タンカー攻撃にイラン製の無人機が使用されたことを示す証拠を入手した。この無人機の残骸の一部が発見された」と明らかにしていた。一方、英はイランの責任を追及するよう呼びかけた。国連安保理は来週、海上の安全保障について協議する会合を開催する予定。

―EUの当局者は、「イラン新内閣の組閣が完了し次第、ウィーンでの核合意をめぐる協議が再開されるとの点で(関係者の)意見が一致している」と述べ、同協議が9月の初めに再開されるとの見通しを示した。

―レバノンのナスラッラー・ヒズボラ書記長は、対イスラエル「7月戦争」終結から15年にあたり「レバノン南部で起きた事態は非常に危険であり、15年来起きていなかったものだ」「イスラエル空軍は5日夜に(レバノン南部を)砲撃した後、3回の空爆を行った」と述べ、「レバノン国内の状況がどうであれ、イスラエルからのいかなる攻撃にも反撃する」と警告した。また「ヒズボラが6日にシェバ農場で実施した(イスラエルの拠点に対する)軍事作戦の目的は、2006年の7月戦争後に設定された交戦規定の定着化だった」とし、「イスラエルは空爆を通じて古い均衡を崩そうとしたが、ヒズボラがこれを再び定着させた」と強調した。ベイルート港での爆発に関する調査については、「政治的に利用されており、統一された基準を欠いている」とし、「ヒズボラは真実を見逃すことは容認しない」と述べた。

―レバノン・イスラエル国境での事態のエスカレートが懸念される中、国連は「何らかの誤算が生じ、それが深刻な結果に至る可能性がある」と警告した。両国の国境地域では、6日に緊張が高まった後、静けさが戻っている。イスラエル政府は「ヒズボラや地域の親イラン勢力と対峙し続ける」としている。

○ サウジ・イエメン・湾岸情勢

―サウジアラムコ社は、「カシーム州にある石油製品流通ターミナルで技術的故障により稼働が一時停止し、修理に取り組んでいる」「数時間中に修理が完了し通常稼働が再開されるまでの間、同州の需要充足を保証するために供給不足分を補った」と発表した。

―国連は6日、スウェーデンの外交官ハンス・グルンドベルグ氏を新たなイエメン担当特使に任命した。この10年で4人目の特使となる。同氏は2019年から駐イエメンEU大使を務めていた。サウジは、同氏の特使任命を歓迎。

○ エジプト情勢

―特になし

○ 中東和平(占領地情勢)

―特になし

○ 国際テロ・過激主義情勢

―アフガニスタンのタリバンは、「北部ジョウズジャーン州の州都を制圧した」と発表した。南西部ニムルーズ州の州都に続き、過去24時間に2つの州都を制圧したことになる。この数時間後、アフガン国防省報道官は「米の戦略爆撃機B-52が7日夜、北部ジョウズジャーン州の州都シェベルガーンでタリバン戦闘員の集結場所を空爆した」と明らかにした。

―アフガニスタンでの政府軍とタリバンの戦闘が激化する中で、トルコへのアフガン難民の流入が続いている。トルコ当局は、同国に入ってくる難民数の増加を予測している。トルコ国防省は、「違法な越境」を禁じるために、イラン国境沿いの部隊の強化を決定した。

○ マグレブ情勢

―ドベイバ・リビア首相はイスタンブールを訪問し、エルドアン・トルコ大統領と会談、両国間関係について協議した。リビアからの外国軍と傭兵の撤収を求める声が高まる中での会談だが、アカル・トルコ国防相は「リビアに駐留するトルコ軍は、リビアからの正式の要請を受けて駐留しているものであり、リビアを支援するために駐留を続ける」と強調した。トルコ大統領府によると、今回の会談では経済問題が主題となった。トルコ側からは財務相や商務相、中央銀行総裁が会談に同席し、中断しているトルコ企業によるリビアでのプロジェクト(リビア革命以前のものも含む)の再開方法などについて話し合った。

―仏大統領府の声明によると、マクロン大統領はサイード・チュニジア大統領と電話会談した。サイード大統領は、マクロン大統領に「次期段階のための行程表を近く提示する」と伝えた。一方、マクロン大統領は「この決定的な時に、仏はチュニジアの主権と自由のために同国と同国民を支援する」とし、「チュニジアは、様々な難題に立ち向かうために仏の支援に頼ることができる」と述べた。

―サイード・チュニジア大統領は、(カルタゴの大統領官邸で)ガルガーシュUAE大統領外交顧問を迎えた際に、「国民の主権に奉仕し、国家を維持し、国家機関を混乱させてその機能を停止させるようなあらゆる現象に歯止めをかける目的で憲法の枠内で例外的な措置を講じることにより、信頼を担った」と述べた。チュニジア大統領府の声明によると、ガルガーシュ顧問は「UAEはチュニジア大統領による一連の歴史的な決定を理解し、これらを支持する」「UAEは、チュニジア国家を維持し民意にこたえるための同決定の重要性も認識している」と述べ、「UAEはチュニジアを支援する用意がある」と表明した。

○ トルコ情勢

―特になし

<その他の重要ニュース要旨>

―ギリシャ当局は、エビア島で火災が再発したため、住民数百人を避難させた。同国では、首都アテネ近郊を始めとする各地で火災が広がり、数千人が避難を余儀なくされている。

エリコの目

―9日よりロシアからエジプトの避暑地(ハルガダ、シャルムエルシェイク)に向けた直行便の運航が解禁され、エジプトへのロシア人観光が再開される。これにより、約30万人が行楽先を(コロナ蔓延中の)トルコからエジプトに変更すると予測され、エジプトの観光業関係者は期待を寄せている。これまで失業していたホテル従業員を再雇用する動きも活発である。(アルアラブ紙)

https://alarab.co.uk/node/254488

中東の新型コロナ動向

―各国の動向を大別した。

・著しい感染拡大を起こしている国:トルコ、イラン、イラク、チュニジア、モロッコ、リビア、アルジェリア。特にチュニジアでは、医療崩壊を起こすまでに悪化、政変の原因となった。

・抑えられているが、増加傾向の国:イスラエル、UAE。最近のUAEの発表数値は人為的に抑え込まれている可能性が高く信用できないが、社会問題になるほどの感染拡大は起きていない。イスラエルの新規感染者数は着実に増加しているが、重症化割合は少ない。

・感染が下火になっている国:カタール、クウェート、オマーン、バーレーン、サウジアラビア、ヨルダン

・統計未整備、または信用できない国:エジプト、パレスチナ、シリア、イエメン等

(上記は、各国政府発表値を当社が独自に評価したもの。)

COVID - Coronavirus Statistics - Worldometer
Daily and weekly updated statistics tracking the number of COVID-19 cases, recovered, and deaths. Historical data with cumulative charts, graphs, and updates.

<特記事項・気付きの点>

―特になし

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