アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
2日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ カブール空港をめぐる危機解決への動きが加速。カタールの技術者が運航再開を支援へ。米、「空港再開を促進するカタールとトルコの取り組みを支持する」と述べる
■ 米国防長官、「アフガニスタンでの新たな段階が始まった。外交による退避の努力が行われる」述べる
■ タリバン筋、「新政府の陣容は数日内に発表される」と述べる。米、「新政府の承認を急がないことで、同盟諸国と一致している」と声明
■ 仏独、イランに核合意の交渉への即時復帰を促す。対するイランは「前向きな姿勢」を欧州に求める。イスラエルは「核合意の代替計画が必要だ」と主張
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―ルドリアン仏外相はイラン外相との電話会談で、「核合意をめぐる交渉の即時再開」を求めた。また、イランの核開発活動への懸念を伝え、「仏とイランの対話が(核合意の)交渉での妥結を促し、地域の安定につながること」に期待を示した。これにイラン外相は、「イラン国民の利益と権利を実現する交渉には参加する」と応じ、「前向きな行動に務める」よう欧州諸国に求めた。独もイランに核合意の交渉への迅速な復帰を求めた。一方、イスラエル外相は、「世界はイラン核合意に代わる計画を必要としている」と述べた。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―特になし
○ 国際テロ・過激主義情勢
―カブール空港の運航再開について検討するため、カタールの技術者チームがカブール入りした。アフガニスタン民間航空局は、「民間・商業機の運航再開を進めるべく、カブール空港が直面する全ての問題の解決に取り組む」と声明。一方、米国務省報道官は「カブール空港再開に向けたカタールとトルコの努力を支持する。これは米の利益にとって重要だ」と述べた。
―ハーテル・カタール外務省報道官は、上記技術者チームについて「カブール空港の一刻も早い再開に向けた支援が任務だ」「これは世界中の当事者から支持を得ている」と述べた。また「国際社会とタリバンが前向きな対話を行い、信頼を構築する必要がある」「タリバンが現在のところ示しているプラグマティズムを生かすべきだ」と呼びかけた。
カブール特派員の話:タリバンは「我々には空港稼働を再開する技術的準備ができている」とする一方で、「稼働のための支援を受け入れる用意がある」としており、カブール入りしたカタールのチームが技術面で運航再開を支援する可能性がある。タリバンは新政府の陣容については「数日内に発表する」とし、「国内の全政治勢力に開かれ、国内外から受け入れられる政府になる」としている。
―タリバン筋は、「近く発表される新政府に、前政府のメンバーは加わらない」と述べた。また、カブール空港の状況について、「民間航空局の職員に職務復帰を求め、空港の損傷の評価を行うよう呼びかけている」「暫定評価では、空港の修復と維持管理に300万ドルを要する見込みだ」と語った。
―オースティン米国防長官は、「アフガニスタンでの取り組みは新段階に入った。退避作戦は外交主導となる」と述べた。また、これまでの退避を「米史上最大の航空作戦」「米の最長の戦争における最後の任務」と呼び、「米国人6千人、12万3千の民間人を退避させた」と強調。「近く湾岸地域を訪問し、退避を支えた同盟諸国に謝意を伝える」と語った。また「テロにはどの場所であれ立ち向かい続ける。地域の安定確立に取り組む」とした。
―ヌーランド米国務次官は、「アフガニスタンからの退避を完了させるため、タリバンと密に連絡をとってきた」「米と同盟諸国やパートナーの利益に資するよう、タリバンと協議を続ける」と述べた。また「人権や国際法を尊重する責任を果たす」ようタリバンに呼びかけた。さらに「タリバンは、アフガニスタンを異なる形で運営できれば、多くを得るだろう」と語った。
ワシントン特派員:米政府の報道官たちは、「アフガニスタン新政府の承認についてもタリバンと調整しているのか」との問いに「承認を急ぐことはない。タリバンが言葉を行動で証明することを望む」としている。国務次官は、アフガン新政府承認の協議は「全く行っていない」と述べた。米がタリバン政権を承認する場合に要件となるのは、国連安保理が決議した数々の内容。「国連憲章の順守、20年前とは異なる国家運営、少数派や女性の権利尊重、アフガニスタンをテロの拠点としない、退避希望者の出国を認め、その安全な移動を確保する」など。
―タミーム・カタール首長はドーハで、マース独外相とアフガニスタンめぐる地域、国際情勢について協議。独外相は、アフガンでの和平や民間人退避でカタールが担っている役割に謝意を表した。
―タリバンのムッタキー布教・指導委員会委員長は音声メッセージで、「話し合いや仲介者を通じてパンジシール州の問題を解決しようと、極めて真剣に取り組んだが、失敗した」「州の住民に対し、戦闘をやめて我々に加わるよう求める」と述べた。
―タリバンの主要な支持基盤があるカンダハルで、米軍の撤退を祝う催しが続き、タリバンの戦闘員たちが軍用や一般の車両による大規模な軍事パレードを行った。参加者からは、米軍撤退について「外国の占領からの独立だ」との声が聞かれた。
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
―中東に造詣の深い米元外交官ロバート・フォードは「イラク・シリアはアフガニスタンではない」と題する寄稿をし、米国のアフガン撤退のイラク、シリアへの影響は限定的である理由を述べている。ポイントは、①アフガニスタンでは、バイデンがトランプの撤退方針を覆すには大幅な増派と戦闘が必要だったが、世論は支持しなかった②対照的にイラク、シリアでは現地政府にISと戦う明確な意思があり、米は親イラン民兵組織と直接的な戦闘関係にはない。③アフガン撤退は遅かれ早かれ必要だったと与野党一致しているが、イラク、シリアからは撤退すべきでないと考えられている。イスラエルへの配慮もある。(アッシャルク・アルアウサト紙)
中東の新型コロナ動向
―ヨルダンの感染状況は新規感染者数、および死者数の指標で見る限り5月以降落ち着いており、急激な感染拡大を経験中の隣国イスラエル、経験した後改善中のイラクと好対照を示している。1日発表の新規感染者数は965人で、一時の500人未満の時期からは漸増しているものの、1,000人前後で推移している。同日の死者数は11人でここ1か月の平均値程度であった。人口が同規模のイスラエルでは43~54人が毎日死亡している。
<特記事項・気付きの点>
―特になし