アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
12日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ 米、9.11攻撃事件から20年の記念日を迎える。大統領は「米国民の結束」を強調し、国防長官は「米はより安全になった」と発言
■ カタール・露外相会談で、アフガニスタン情勢が中心議題に。両国は「アフガニスタンの国内状況の正常化」と「近隣諸国の不安定化の防止」の必要性を確認。カブール空港は、技術的準備を完了し、支援物資を積んだ更なる航空機の受け入れへ用意を整える
■ イスラエル検察、刑務所から脱獄し再拘束されたパレスチナ人収監者4人を「脱獄とテロ組織への所属」の罪で起訴。裁判所は4人の勾留を延長。カッサーム部隊は、次回の捕虜交換取引と4人の解放とを結びつける
■ チュニジア労働総同盟、大統領に「方向性の明確化」を求め、憲法協議への道としての早期総選挙の実施に固執。ナハダ運動は「憲法違反」に警鐘を鳴らす。大統領は「憲法を尊重するが、それは憲法の条項修正を禁じるものではない」と述べる
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―イラク北部クルド地方のテロ対策局は、「アルビール国際空港が爆弾を積んだ無人機による攻撃を受けた」と発表した。アルビール県知事は、「この攻撃による人的被害はなかった」と述べた。これより先に、イラクのメディアは「アルビールで複数の爆発音が聞こえ、米領事館で警報サイレンが鳴った」と伝えていた。また、アルビール支局長は、地元消息筋の話として「対IS有志連合の基地があるアルビール空港内にミサイル3発が着弾し、同空港の周辺に別の3発が着弾した」と伝えていた。現在業務が行われている米領事館は、同空港から1キロほどのところにある。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―特になし
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―イスラエルの裁判所は、ギルボア刑務所から脱獄して再拘束されたパレスチナ人収監者4人の勾留を今月19日まで延長した。これより先にイスラエル検察は、これら4人を「テロ行為計画とテロ組織への所属」の罪で起訴した。裁判所の前では、イスラエル領内のパレスチナ人数十人が4人に連帯を示すデモを行った。
―ハマース軍事部門カッサーム部隊のアブー・オベイダ広報担当は、ビデオ声明で「(上記の)パレスチナ人収監者4人が解放されない限り、イスラエルとの次のいかなる捕虜交換取引も実施しない」と誓い、「収監者6人の脱獄成功は、イスラエルの治安の脆弱さを改めて示した」と述べた。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―米の9.11攻撃事件から20年にあたり、NYなど各地で犠牲者を追悼する行事が行われた。バイデン大統領は、現場となった3か所を訪問。これより先に、同大統領は同事件から20年にあたっての演説で「あの攻撃事件によって、我々は人間性の暗黒の力を見ることとなった。平和的な宗教の信者であるイスラム教徒への恐怖や怒り、恨み、暴力といったものだ。結束こそが、決して壊れてはならないものであり、米国を最高の状態にするものだ。これが同事件から学んだ教訓だ」と述べた。
―オースティン米国防長官は、TVインタビューで「米国は現在、いかなる脅威からも安全になっている。過去20年間に米国がテロ攻撃に晒されずに済んだのは偶然ではない」と強調し、「アフガニスタンの状況は以前とは全く変わった。国際テロの脅威はまだあるが、それはアフガニスタンではなく他の国から来るものだと米は見ている」と述べた。一方、ミリー米統合参謀本部議長は、国防総省で行われた追悼式典で「9.11攻撃事件後の20年間にアフガニスタンで米軍と米兵が払った犠牲は、無駄ではなく、更なる攻撃から米国を守ることに貢献した」と述べた。
―アフガニスタンのカブール空港の責任者は、「国際線を運航するための技術・管理・安全・ロジスティクス面でのあらゆる準備が完了した」と述べた。同空港の周辺には(タリバンが組閣した)職務執行内閣傘下のアフガン警察の部隊が配置され、同空港への出入りの管理にあたった。国内線は11日、カブールと主要3都市の間で運航された。
―ムハンマド・カタール副首相兼外相は、モスクワでラブロフ露外相と会談した。両者は「アフガニスタン国内の状況を正常化する必要がある」「近隣諸国の不安定化を許さない」と確認した。露外相は、「アフガン問題の解決と暴力防止を支援するカタールの取り組みの重要性」を強調した。一方、カタール外相は「アフガンへの人道支援は、いかなる政治的な展開からも独立したものであるべきだ」とし、タリバンに「国外へ出ることを希望するすべての人々の移動の自由を確保するための調整」を呼びかけた。
―アフガニスタンでは最近の変化を受けて多くの人々がより良い生活を求めて国外への脱出を考えざるを得なくなっている。しかし、アフガン難民の数が増えている一方で、国のより良い将来を期待して「経済状況は厳しいものの、国外に出る必要はない」と見るアフガン人も多い。これまでに外国軍が国外に退避させたアフガン人は約2万人。イランやパキスタンなどで暮らすアフガン難民は約300万人。国内避難民は約350万人。
○ マグレブ情勢
―ボレルEU上級代表は、チュニスでサイード・チュニジア大統領や諸閣僚、諸政党・団体の代表らと会談した後、「チュニジアの民主化の成果の維持に関して懸念を伝えた」と述べた。これに対し、チュニジア大統領府は声明で「チュニジアは主権国家であり、国民の意思に由来するその選択に干渉する余地はない」と強調した。
―チュニジア国内では、ハッジャーム大統領顧問が「憲法を一時停止し、国民投票によって政治体制を変更する可能性がある」と述べたことに批判が集まっている。ナハダ運動は、「この路線は、正統性の喪失や単独統治への回帰、民主化の成果や自由・人権の保証からの後退に繋がる」として拒否し、「議会の信任を得られる内閣の組閣を急ぐよう」呼びかけ、国民対話の重要性を強調した。チュニジア労働総同盟も「憲法の停止に至るいかなる措置も拒否する」と表明。タッブービー同総同盟事務局長は、「早期総選挙を実施して、新たな議会で憲法や政治体制変更の問題を協議すること」を提案し、「内閣の組閣を急ぎ、大統領が今後取る方向性を明確に示すよう」求めた。
―ロイター通信によると、サイード・チュニジア大統領は「現在の憲法の枠組み内で修正を加えることが可能だ」と述べた。
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
―パキスタン退職外交官他の語るアフンド師(暫定政府首相代行)像:①故オマル師側近で、ビンラディン引渡しに強く反対した。②故オマル師より年長で子供の頃からの友人。「タリバン運動」創設を構想した3人のうちのひとり。③96年タリバン政権で外相の地位にあり、対パキスタン、一部のイスラム諸国との「外交関係」に従事。④同政権で首相位にあったラッバーニ師が病死の後、約5年間、同師を引き継いでタリバンのリーダー位にあった。⑤オマル師、及びその後継者のマンスール師が死去した後の2回とも、アフンド師はアミールに推挙されて然るべきであったがそうならかなったのは同師が拒絶したから。しかし、タリバンを実質的に掌握していた。⑥「外相位」にあったにも拘らず、頑迷な性格では?バーミアンの摩崖仏爆破に世界的な反対があったが強行させた人物と目されている。(アッシャルクルアウサト紙)
<特記事項・気付きの点>
―特になし