アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
28日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■イランとIAEAが核施設への立ち入りをめぐって対立。米はイランへの対抗措置を警告する一方で、核合意をめぐる協議に戻る意欲を示す
■国連、スーダンを共同統治する軍人・文民の両勢力に政治的移行を進めるための対話を呼びかけ、協力体制維持の重要性を強調
■イエメンのタイズ県で生活状況悪化に抗議するデモが拡大、警察部隊との衝突でデモ隊の1人が負傷
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―イラン原子力庁は、IAEAが「イランはテヘラン西方カラジにあるテサ(TESA)の核施設への立ち入りを拒否している」と報告したことに対し、これを「偏向していて、不正確な報告だ」と批判。グロッシ事務局長に対し、「IAEAとイランの前向きな歩み」を台無しにしない形で行動するよう要請した。一方、米は「イランが核施設への立ち入りをIAEAに許可するとの約束を守らなければ、同国への対抗措置を取る」と警告した。
―サキ米大統領報道官は記者会見で報道陣の質問に答え、「米はイランとの核合意をめぐる協議に戻ることを目指している」と説明した。
―ルドリアン仏外相は国連総会での録画演説で、「イランの核合意をめぐる協議再開が遅れたら、より大きな危機が発生する危険性が増す」と警告し、「イランに『時間は自分の味方だ』と考えることを許すべきではない」と述べた。
―イランのラバンチ国連大使は、「国連総会でのイスラエル首相の発言(イランは核開発において全ての「レッドライン」を越えたとの非難)は、イランについての嘘で満ちていた」とツイートし、「数百発の核弾頭を所有するイスラエルは、イランの平和的な核開発計画について話すことが許されるような立場にはない」「パレスチナに関するイスラエル首相の沈黙は、パレスチナ人から権利を剥奪する決意を示している」と主張した。
―レバノンの控訴審は、2020年8月4日のベイルート港での爆発事件を担当する調査官のターリク・ビータール判事に対し、(取り調べのため同判事に召喚されていた)マシュヌーク元内相による新たな調査官の任命を求める申し立てに対する決定が下されるまで、調査を一時的に停止するよう命じた。調査停止の決定は、爆発の犠牲者の遺族らを始めとする多くの人々の批判を受けた。遺族らはこれを「政治的動機から真実を隠蔽し、司法当局の活動を妨害する試み」とみなしている。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―AP通信がイラク高官らの話として伝えたところによると、サウジとイランの高官らが約1週間前にバグダッドで秘密裏に会合し、両国の関係危機収束のためのイラクでの4回目の協議を行った。協議は前向きなもので、両国の外交代表部(の再開)等が取り上げられた。テヘラン・タイムズによると、イラン側は安全保障最高評議会のシャムハニ事務局長、サウジ側はジュベイル外務担当国務相が出席した。イラク首相事務局に近い筋によると、イラクの役割は、会合の開催に便宜を図る仲介者としての限定的なものだった。
―オマーンのブーサイーディー外相は国連総会での演説で、「オマーンはイエメン紛争を終わらせるため、サウジ、国連・米の両イエメン特使、イエメンの紛争当事者らとの取り組みを続ける」と述べ、危機の包括的・政治的解決の必要性を強調した。
―イエメン地元筋によると、タイズで生活状況悪化に抗議するデモが発生し、一部の道路が遮断された。治安部隊がデモ隊を強制排除しようとして実弾を発砲し、1人が負傷。また、このデモは拡大して市外に及び、多くの地域でデモ行進等が行われた。また、ゼネストが実行され、市場や商店が閉鎖された。一方、タイズ県の治安委員会は、「県内の抗議デモに入り込んで破壊工作を行おうとしている勢力がいる(名指しせず)」と声明し、これを厳しく取り締まると警告しつつ、「平和的デモを守り、表現の自由を尊重する」と強調した。
―イエメン政府筋によると、アブドルマリク首相は26日、閣僚数人を伴ってサウジから帰国した。リヤド発のサウジ機で南部シャブワ県の県都アタクに到着したという。イエメン政府の閣僚らは、UAEの支援を受ける南部移行評議会(STC)の武装勢力がアデンの内閣府に突入した後、同市を離れることを余儀なくされていた。
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―特になし
○ 国際テロ・過激主義情勢
―アフガニスタンの新政府(タリバン暫定政権)は、対イラン国境のイスラム・カラ検問所の稼働を再開した。同検問所は、イランからアフガニスタンに輸入される物資の大半が通る交易上の主要な玄関であり、その規模は年間約35億ドルに上っていた。
―ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ミリー米統合参謀本部議長はゲラシモフ露軍参謀総長と会談し、アフガニスタンからのテロの脅威への対応で米軍が中央アジアの露軍基地を使用することについてのプーチン大統領の申し出をめぐって協議した。
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―国連スーダン統合移行支援団(UNITAMS)のペルテス代表(アラビア語話者)は、ハルツームを訪れて統治評議会の文民側のメンバーであるタアーイシー評議員と会談し、同国の文民と軍人の協力体制維持の重要性を強調。また、メディアでの非難の応酬を控えて緊張緩和を目指し、政治的移行に向けて前進するための対話に集中する必要があるとした。一方、タアーイシー氏は憲法文書と移行期間についての政治的合意を順守することが重要だとした。
エリコの目
―イスラエルのエルダン国連大使は、イスラエル軍ラジオに対し、イランが核合意に復帰する可能性はかつて80%あったが、今は30%に下がった。米国と他の「世界的な勢力」は、ウィーン協議が失敗に終わった場合にイランの核開発を止めるための「プランB」(軍事行動)を積極的に検討中だ、と述べた。(アッシャルクルアウサト紙)
<特記事項・気付きの点>
―特になし