2021年10月14日 (No.21197)

アルジャジーラ・モニタリング

<ニュース・ヘッドライン>

14日0600JST「ミッドナイト・ニュース」

■ イラクの諸会派・政党が議会選の結果への拒否を表明。シーア派諸政党の調整グループは、「実態の説明において混乱と失態、不正確な事態が起きている」とする

■ 米国務長官、「イランが核合意をめぐる協議に復帰することについて、時間がなくなりつつある」「バイデン政権は、イランの脅威に対処するための全ての選択肢を検討している」と述べる

■ イエメン首相、マアリブ県での戦闘激化を受け、ホウシー派が同県の一部を包囲していることに疑問を呈する。同派は「相互の順守及び保証に基づく包括的和平」に向けた用意があるとの姿勢を示す

<特定関心項目報道ぶり>

○ 日本関連報道

―特になし

○ イラン・イラク・シリア情勢

―ブリンケン米国務長官はラピド・イスラエル外相、アブドラUAE外相とワシントンで会談し、会見で「イランが核合意をめぐる協議に復帰することについて、時間がなくなりつつある」「イランが核合意をめぐるウィーンでの交渉に戻らずにいる中、米は同国の脅威に対処するための全ての選択肢を検討する」と述べた。

―マレー米イラン担当特使は、交渉の席に戻るようイランに呼びかけ、「イランが米側との直接協議を拒否したため、ウィーンでの交渉はうまくいかなかった」「イランが我々と直接協議を行うことを望む。これは米が譲歩するとの意味ではなく、交渉を円滑にする外交的措置に向けた一歩だ」「間接協議が現状における交渉の最適な方法でないことはイラン側にとっても明らかだろう」「イランが核合意に復帰する用意ができていなければ、米は同盟諸国と共に全ての選択肢を検討する」と述べた。また、「米は湾岸諸国と連絡を取り続けており、これら諸国の対イラン政策の研究及び評価を行っている」「核合意と、イラン核開発計画の管理について協議すべく、サウジアラビア、UAE、カタールを訪問する」「イランをめぐってイスラエルと相違があるが、我々とイスラエルの間には、イランの核兵器保有を阻止するとの共通の目標が存在する」と述べた。

―仏外務省報道官は、「ウィーンでの協議はイランの要請を受けて4か月間停止されたが、イランは協議再開の予定日を守らなかった」「イランの新政権の言動には、包括的共同行動計画(核合意)に戻る意志があるのかどうかとの疑念が生じる」と述べ、「ハイレベル協議を行うべく、IAEA事務局長にイラン訪問を呼びかけるよう」イランに促した。

―イラク選管は、「議会選の票の手作業による再集計が13日にバグダッドで開始され、1週間以内に終了する」と述べた。こうした中、更に多くの会派や政党が議会選の結果への拒否を表明し、シーア派諸政党の調整グループは、「議会選に関する説明において、混乱と失態、不正確な事態が起きている」と述べた。

○ サウジ・イエメン・湾岸情勢

―ブリンケン米国務長官とのワシントンでの会見で、アブドラUAE外相は「ラピド外相の招待を受け、近くテルアビブを訪問する」「UAEはイスラエルとの成長している関係に満足している」「我々は2つの世界の間に架け橋を築いている。この現状を喜ばしく思う」「今回のような会合が地域に前向きに影響すると確信している」と述べ、「UAEとイスラエルの関係の成功は、イスラエルとパレスチナの双方に、『この道(関係正常化)は報われるため、投資だけでなく、リスクを冒す価値もある』と理解することを奨励する」と強調し、UAEとイスラエルの間に橋を築くことに取り組んだ米に謝意を表した。一方でラピド・イスラエル外相は「両国の関係はパートナーシップ、友情、暴力・テロ対策、寛容の拡大に基づいている」と称賛し、「イスラエルとUAEは共通の価値観を有するパートナー同士だ。我々は希望に基づく歴史の新しい章を書いている」と述べ、「私の自宅はUAE代表団を迎え入れるために開かれている。私の妻は彼らを夕食に招待することを待ちわびている」と確認した。

―ムハンマド・カタール副首相兼外相は13日、「(イスラエルによる)占領を終結させる見込みがないため、(イスラエルとの国交正常化に関する)アブラハム合意はカタールの政策に合わない」「占領が続いている以上、イスラエルとの経済の正常化に頼ることはできない」「我々の外交政策はアブラハム合意と一致しない。パレスチナ側との平和的解決に向けたイスラエルの振る舞いや立場が見られていないためだ「パレスチナの地が占領されている、このことこそがアラブ諸国とイスラエルの間の問題の核心だ。占領が終結し、公平な解決に至る見込みがなければ、カタールがイスラエルとの関係正常化に踏み切ることはないだろう」と述べた。

―イエメン中部マアリブ県で政府軍・部族勢力とホウシー派の戦闘が勃発し、数十人が死傷した。地元筋によると、部族勢力の支援を受けた政府軍は、同県ジュバ南部の複数地域を制圧したホウシー派を攻撃した。また同筋は、「ジュバに向けて弾道ミサイル2発を発射した。このうち1発がガソリンスタンドに着弾し、民間人を含む犠牲者が出た」とホウシー派を非難。こうした中、イエメン政府軍は「マアリブの各地でホウシー派の攻撃を阻止した」と述べ、サウジ・UAE同盟軍は「マアリブ県アブデイヤでこの24時間に、ホウシー派の戦闘員及び装備を狙った作戦を19回実施した」と確認した。一方でホウシー派のメディアは、「同盟軍の戦闘機がマアリブ・ジョウフ両県で砲爆撃を33回実施した」と伝えた。ホウシー派は約3週間前から、マアリブ県アブデイヤを包囲している。

―国連は13日、「マアリブ、バイダー、シャブワ各県の激しい戦闘による民間人への壊滅的な影響」を警告した。ドゥジャリク国連事務総長報道官は、「イエメンで戦闘が続いており、過去数週間で激化した」「戦闘の激化は民間人に対して壊滅的な影響を及ぼしており、9月にはマアリブ県の約1万人が避難した」「国連はとりわけマアリブ県南西部アブデイヤの情勢を懸念している。同地区には近隣の地域からの避難民を含む約3万5千人がいる」と述べ、各当事者に対して「国際人道法の順守と、各地への人道支援搬入の円滑化」を呼びかけた。

○ エジプト情勢

―特になし

○ 中東和平(占領地情勢)

―特になし

○ 国際テロ・過激主義情勢

―特になし

○ マグレブ情勢

―特になし

○ トルコ情勢

―特になし

<その他の重要ニュース要旨>

―特になし

エリコの目

ーカタールは、アラブ諸国の中ではイスラエルとの国交正常化に前向きで先頭を走っていた。しかし、ここにきて正常化に後ろ向きな態度を表明しているのは、イスラエルとの関係強化に関心がないのではなく、既にUAE等が先行している環境の中で追随しても、現在称賛を浴びている「西側と過激主義勢力との仲介」という同国の外交的役割にマイナスになるだけ、という計算が働いているからだ。
ムハンマド外相の13日の発言:「中東和平に全く展望が見られない状況下で、『正常化』が問題解決に資するとは思えない」、もこの文脈で理解できる。(アルアラブ紙)

https://alarab.co.uk/node/259565

<特記事項・気付きの点>

―特になし

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