アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
16日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ レバノンのヒズボラ、レバノン軍団を「不和を煽ろうとした」と非難し、「我々は内戦には引き込まれない。殉教者の血を無駄にしない」と声明。レバノン軍団は、「国を不和に引き込んだ者を裁く」よう求め、法的措置も辞さないと主張
■ イエメンのアンサール・アッラー(ホウシー派)、マアリブ県南部アブディーヤ郡中心部を制圧。サウジアラビア主導の同盟軍、郡内で攻撃を実施
■ アフガニスタンのカンダハルで、シーア派モスクが自爆攻撃され、数十人が死亡。タリバン、「近隣諸国や国際社会によるアフガン政権承認が、国内問題への対処の助けになる」と主張
■ スーダン首相、「対立を解消し、移行期の基盤を拡大する」よう呼びかけ。「危機解決のロードマップ」を発表
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―レバノン情勢
・14日にレバノン南部東部タイユーナで起きた銃撃戦について、ヒズボラのサフィエッディーン執行評議会議長は、「レバノン軍団」(キリスト教マロン派の民兵組織・政党=LF)に責任があると述べた。また議長は、銃撃戦の死亡者複数の葬列に際し、「LFの目的は不和の扇動だった。彼らは欧米やアラブ諸国の指示のもと、内戦を起こそうとした」と主張。「ヒズボラが新たな内戦に引きずり込まれることはない」「だが殉教者の血は無駄にしない」と語った。
・ジャアジャアLF党首は、TVインタビューで銃撃事件への関与を否定し、「抗議を行っていた者たち(ヒズボラ、アマル運動の支持者)に起きた事の責任は、彼らをその場所に連れ出した指導部にある」と述べた。また「レバノンを不和に引き込んだ者を裁くべきだ」とし、法的措置も辞さないとした。また「ミーカーティ内閣は危険に瀕している。連日妨害され、行く手に地雷を置かれている。目下の地雷は司法に関するものだ」と述べた。また、「抗議の者(ヒズボラ、アマル運動の支持者)が銃撃される前に、(現場の一角で、LF支持者が多い)アイン・ルッマーナ地区の住民4人が負傷させられた」と主張。
・サリーム国防相は、「軍は、混乱を起こし公共の安寧を脅かすいかなる逸脱行為も許さない」と強調。タイユーナの銃撃戦の捜査により、これまでに19人を拘束したと明らかにした。銃撃戦の死者は7人となった。
・ヒズボラと同盟勢力が(自派の有力者を聴取する意向の)ベイルート港爆発事件の捜査判事の辞任を要求し、ヒズボラ系閣僚の拒否で閣議が開けない状態に陥る中、一部で解決に向けた協議が行われているが、成果が出ていない。一方、ハリーリー、サラーム、シニオラの元首相3氏は、「アラブ諸国または国際的な委員会の助力による港爆発事件の捜査」を呼びかけた。
―イラク選管は、「選管には、各政党連合の獲得議席数について、その理由を解説する責任はない」「開票と集計は続いており、2日以内に作業が終わる見通し。まだ不服申し立ての審査は行っていない」と声明。一方、サーレハ大統領とザイダーン最高司法評議会議長は、共同声明で「選挙結果への不服申し立ては正当な権利だ」とした上で、「国の治安と安定に影響するエスカレートの回避と沈静化」と各勢力に呼びかけた。最多議席を得ているサドル潮流は、選挙結果は正当だと強調。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―イエメンの現地筋によれば、「アンサール・アッラー」(ホウシー派)は、マアリブ県南部のアブディーヤ郡中心部を制圧した。ホウシー派は同地を3週間前から包囲し、激しい攻撃を加えていた。これに対抗していた部族の兵員は、弾薬・食糧が尽きて撤退した。アブディーヤの南東郊外では戦闘が続いている。郡中心部は医薬品の搬入が禁じられ、負傷者70人が苦境にある。また多数の住民が砲弾を逃れて非難した。アブディーヤ郡は人口約3万6千で、(国内南部で優勢なハーディ政権にとって)マアリブ県への入口にあたり、バイダー県とシャブワ県をつなぐ山岳ルートにある要地。
―サウジアラビア主導の同盟軍は「アブディーヤと周辺の村で過去24時間内に、ホウシー派の車両と兵員に対する攻撃を40回実施した」と発表。また、サウジ南部ジャーザーンに向けてホウシー派が放った爆弾搭載の無人機を、サウジ防空部隊が破壊した由。
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―特になし
○ 国際テロ・過激主義情勢
―アフガニスタン南部カンダハル中心部にある「ファーティミーヤ・モスク」(市内最大のシーア派モスク)で爆発が発生。政府筋は41人が死亡、約80人が負傷したとし、「モスク内で3人が自爆した」としている。「イスラム国(IS)」が、組織のメディア「アアマーク通信」を通じて実行声明を出した。
関連報告:アフガニスタンでは今月8日にも同種の事件(北部クンドゥズのシーア派モスク爆破)が起きたばかり。ただ、カンダハルはタリバンの「本拠地」で、これまでこうした攻撃は起きていなかった。当時モスクにいた人の証言では、「(金曜の)礼拝後、モスクの外から銃声が聞こえ、攻撃者の1人がモスクに侵入してきて自爆した」「続いて別の1人が正面入口で自爆。モスク外に逃げた人々の間で3人目が自爆した」「4人目の攻撃者は、モスクの警備要員に殺害された」という。これら自爆要員を他の複数が支援しての作戦だった模様。カンダハルのシーア派住民の割合は5%程度とされる。マフムード州警察長官は「シーア派の民兵がモスクの警備を担当してきたが、今後はタリバンがモスク保護の責任を担う」と述べた。
―タリバン政治事務所のナイーム報道官はアルジャジーラのインタビューで、「(上記)痛ましい攻撃は、過激思想を奉じる者が起こしたが、彼らが目的を達することはない」「どの国民が悪行に脅かされることも許さない。全ての国民が自身の信仰を実践する権利がある」と述べた。また、国際社会に「アフガニスタンに対する責任を、その体制承認によって果たす」よう呼びかけ、「承認が体制を強め、国内の問題への対応を助ける」と語った。
○ マグレブ情勢
―チュニジアの控訴裁判所の報道官は、マルズーキ元大統領の仏での発言に関する捜査が開始されたと発表。元大統領はアルジャジーラに対し、「憲法を守るとの宣誓に背いたサイード大統領や、議会の承認を得ていない政府に正統性はない」と反発し、「このクーデターを終わらせるための行動」を国民に求めた。また「サイード大統領は辞任すべきだ。彼はチュニジアを暗いトンネルに入らせ、国の一体性や経済、評判を脅かしている」と訴えた。これより先、サイード大統領は閣議で「外国で反チュニジア共謀を行う者(マルズーキ氏を意図)には、国家への共謀罪を適用して対応すべきだ」と述べていた。
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―ハムドゥーク・スーダン首相はTV演説で、「目下の国の危機は、民主的移行を脅かす最悪かつ最も深刻なものだ」と発言。また「先月21日のクーデター未遂は皆が危機に気づく好機だったが、対立を煽る結果となった」と指摘。「対立は軍人対文民ではなく、民主的移行陣営と反革命クーデター陣営の間で起きている」とし、「対立を終わらせ、民主的移行の基盤を拡大する」よう呼びかけた。また「危機解決へのロードマップを、当事諸勢力との議論に基づき策定した」「その入口は、諸勢力がエスカレートを止め、対話を確認することだ」と訴えた。
エリコの目
―ラピド外相の訪米で、イスラエルと米はイランの核開発問題に対するアプローチが調整された。今、イランは「軍事的選択」も検討されていることを理解している。ラピド外相の発言:「米はかつて、イランとの協議が不調に終わった場合の軍事的選択について語ることを拒んでいたが、今では『プランB』について語っており、その中には軍事的選択が含まれる。イスラエルとの考え方の違いは技術的なもので、根本的には違わない。」
ネタニヤフ政権時、イスラエルは米の核合意への復帰に「断固反対」の立場であったが、米は、イランの後ろ向き姿勢に失望感を強めており、イスラエルとしては、「合意はないよりある方がまし」との立場で調整している。(アッシャルクルアウサト紙)
<特記事項・気付きの点>
―特になし