2021年4月30日 (No.21030)

アルジャジーラ・モニタリング

<ニュース・ヘッドライン>

30日0600JST「ミッドナイト・ニュース」

■ 米国務省がイランとの協議の進展に言及する中、米情報機関はイランを「最大の問題」とみなす。革命防衛隊は「米船を含む全ての船舶は、ホルムズ海峡に入る前に船籍等と航行ルートを我々に通知する義務を持つ」と警告

■米・国連の両イエメン特使、リヤドに到着。イエメン・サウジの高官らと停戦をめぐって協議へ

■ホワイトハウス、アフガン駐留米軍の撤収開始を発表。NATOも同時に「調整の上での部隊撤収作業を開始」と発表

<特定関心項目報道ぶり>

○ 日本関連報道

―特になし

○ イラン・イラク・シリア情勢

―プライス米国務省報道官はアルジャジーラの質問に対し、「ウィーンでのイランとの間接協議は大きく進展した。但し、最終合意に達するまで、両国の前には長い道のりがある」と述べた。また、「米のハイレベル代表団が来週中東に赴き、米の国家安全保障や地域の緊張緩和のための継続的努力に関わる様々な事柄を協議する」と明らかにした。

―米上院軍事委員会の公聴会で、同国国防情報局(DIA)のベリエ長官は、「イランは中東における米の利益にとっての主要な問題となっている。同国は高度な軍事能力を有しており、米やパートナー諸国の軍に対して武力を行使する態勢が出来ていることを示している」と述べた。また、ヘインズ米国家情報長官は、「イランは常にシリアでの軍事的プレゼンスを維持しようとし、イエメンの安定を揺るがし、イスラエルを脅かしている」「イラクは来年、イランの影響力による主な戦場となるだろう」と述べた。

―イラン革命防衛隊海軍のタングシリ司令官は、「我々は地域・湾岸水域での敵の全ての動きを注視している」「米の軍事用のものを含む全ての船舶は、ホルムズ海峡に入る前に船籍等と航行ルートを我々に通知する義務を持つ」と警告した。

―ザリーフ・イラン外相は、「ウィーンでの核合意をめぐる協議でも、地域の諸課題でも前向きな兆候がみられる」「今回の地域歴訪は、対話を通じた地域の危機解決に向けた『ホルムズ和平案』を軸としたものだ」と述べた。これに先立ち、同外相はクウェートに到着し、サバーハ首相と会談。クウェート国営通信によると、会談では地域内外の諸課題と両国関係強化の方策が話し合われた。

―イラン外務省のハティーブザーデ報道官は、「サウジの新たな政治的論調」(ムハンマド皇太子が「隣国イランとの良好な関係を望む」と発言したことを示唆)に対する歓迎の意を表し、「イランとサウジは、建設的な対話に基づいて対立を乗り越え、新たなページを開くことが出来る」「両国はイスラム世界の重要な国家であり、その協力は地域の安全と安定に資する」と述べた。また、「イランは『ホルムズ和平案』等の域内対話を提唱した」として、これに関して建設的な動きを取る用意があることを改めて示した。

―イスラエル紙「イディオト・アハロノト」(電子版)によると、エルダン駐米・国連イスラエル大使は、「現在の核合意をめぐる協議で、米とイランの間に数週間内に新たな合意が成立する」と推測した。

―ルドリアン仏外相は、「仏政府は、レバノンで政治プロセスを阻害している者や汚職に関与した者らの入国制限措置を開始した」と発表した。

○ サウジ・イエメン・湾岸情勢

―カタール国営通信によると、タミーム・カタール首長はトルキー・サウジ国務相とドーハで会談し、両国関係とその強化方法をめぐって協議した。

―レンダーキング米イエメン特使とグリフィス国連イエメン特使は、イエメンおよびサウジの高官らとの協議のためリヤド入りした。米国務省の声明によると、米特使はオマーンも訪れる。米特使の任務は、人道支援用を含む物資のイエメン全土への定期的な搬入、恒久停戦の強化、政治プロセスへの移行に重点を置いたものだという。

○ エジプト情勢

―レドワン・エチオピア外務担当国務相は、アジア諸国大使らへのブリーフィングで、「ルネッサンスダムに関するスーダンの懸念は全て適切な形で対処されたことを国際社会は理解すべきだ」「エジプトは同ダムに関して、未だに非合理的な要求を行っている」「AUが率いるプロセスが、次世代の国民の発展への権利を奪う合意への調印をエチオピアが拒否することに配慮した、皆が満足する解決に繋がることを望む」と述べた。

―ザハラーン駐米エジプト大使は、米誌フォーリンポリシーに寄稿し、「停滞したルネッサンスダムをめぐる交渉に再び魂を吹き込む上で米の役割が重要だ。バイデン政権には、3か国を満足させる解決策を提示することが出来る」と強調した。また、同ダムに起因する甚大な環境破壊、エジプトとスーダンでの水不足、紛争による地域の不安定化、欧米への不法移民の増加、テロの蔓延を警告した。

○ 中東和平(占領地情勢)

―パレスチナ指導部は、5月22日に実施が予定されている立法評議会(PLC)選挙の今後について決定するため、特別会合を開いた。アッバース・パレスチナ大統領は、会合の初めに「欧州諸国は、イスラエルが東エルサレムでの選挙実施を許可しないとパレスチナに通知した。これについて、EU代表は遺憾の意を表した」「イスラエルは欧州側に、エルサレム以外のパレスチナ領での選挙実施には同意するとした」と明らかにした。(同大統領は上記の会合の終わりに選挙延期を発表)

―ハニーヤ・ハマース政治局長は、ドーハでムハンマド・カタール副首相兼外相と会談し、エルサレムでの選挙実施に対するイスラエルの妨害への拒否とこれによる選挙延期への反対の意を表明した。

―イディオト・アハロノト紙によると、イスラエルの兵士10人が、防空システム「アイアンドーム」での任務に従事していたことが原因で癌を発症したことを明らかにした。これに先立ち、同システムがガザや最近のシリアからのロケット弾の迎撃に失敗したことで、その有効性をめぐって論議が巻き起こっていた。

○ 国際テロ・過激主義情勢

―ジャンピエール米大統領副報道官は、「米軍のアフガニスタンからの撤収作業は進行中だ」「オースティン国防長官は、撤収作業の護衛を目的として、一時的に特殊部隊を展開させるよう命じた」「米中央軍が作業の評価を行い、必要に応じて護衛の部隊を増強する」と述べた。

―NATOは、「バイデン米大統領のアフガン駐留米軍帰還の決定を受け、NATOも同国からの撤収を開始した」と発表した。

―ベリエ米国防情報局長官は、「アフガニスタンでの暴力の水準は未だ高い」「タリバンはアフガン政府に軍事的圧力をかけ続けている」と述べた。

○ マグレブ情勢

―特になし

○ トルコ情勢

―特になし

<その他の重要ニュース要旨>

―特になし

エリコの目

―イスラエルのコーヘン諜報相は「イランとの『悪い』合意は中東を戦争に追いやる」「イスラエルの戦闘機はイランに到達できる。イランは世界のどこであっても我々の攻撃から逃れることはできない」「イランが核兵器を保有し中東の安定を脅かすことを許さない」などと述べた。ロイターが報じた。(アルアラビーヤ・ネット)

Just a moment...

中東の新型コロナ動向

―エジプトの感染拡大
WHOは、ラマダン明け休日とシャンム・エル・ナシーム休暇(春の祭り)後にエジプトの感染が拡大すると警告している。保健省は、前週の新規感染者数が5,845人と、前年同週の1,248人に比べて5倍に増加したと発表した(注:エジプトの公式発表は氷山の一角)。日別死者数で見る感染状況は、昨年末以来約50人の水準が続いており、3月末以降漸増している。(アルアラビーヤ・ネット他)

Egypt COVID - Coronavirus Statistics - Worldometer
Egypt Coronavirus update with statistics and graphs: total and new cases, deaths per day, mortality and recovery rates, current active cases, recoveries, trends...
<特記事項・気付きの点>

―特になし

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