アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
27日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ 米がイラン核合意をめぐるウィーン協議からの撤退を示唆した後、イランは「際限なく協議するつもりはない」とし、バイデン政権に「トランプ前大統領の遺産を放棄するよう」求める
■ アフガニスタンのクンドゥズとカンダハルで政府軍とタリバンが交戦。タリバンは「戦闘なしに複数拠点を制圧した」とし、「タリバン拠点空爆の責任は米が負う」と警告
■ 「ルネッサンス・ダムを軍事的に守る用意がある」とのエチオピア当局者らの発言の後、エジプトは「自国の利益を守ることを怠らない」とし、スーダンは「いかなる勢力が我が国の安全を脅かすことも許さない」と強調
■ イエメンでUAEの支援を受ける南部移行評議会、リヤド合意の関係者らとのやり取りを停止するよう呼びかけ、「政府が同合意を失敗させようと取り組んでいる」と非難
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―ブリンケン米国務長官は、「イランの核開発計画が進み続ければ、元々の核合意の基準に戻ることが困難なところに至る可能性がある」と警告し、「米は、核合意をめぐるウィーン協議が大きく長引けば、同協議から撤退する用意がある。その期限は近づいている」と示唆した。マレー米イラン特使は、「バイデン政権は、前トランプ政権が核合意からの離脱後にイランに科した制裁のすべてを解除するつもりはない。解除するのは、核合意の項目に関連するものだけだ」と述べた。米大統領府は、「人権・弾道ミサイル計画・テロ支援の分野でイランに科した制裁を解除する用意はない。これらの課題については、より強化した形の合意での対処を望む」としている。
―ハティーブザーデ・イラン外務省報道官は、ツイッターで「イランは、終わりのない協議を行うつもりはない」「米がトランプ前大統領の失敗の遺産を放棄すれば、合意に至ることは可能だ」と述べた。
―米NBCは、消息筋の話として「ハメネイ・イラン最高指導者に対する制裁を解除することが、イランに核協議でのいくつかの困難な譲歩を受け入れるよう説得することにおいて、バイデン政権の一助となるかもしれない」「イランの当局者らは、ハメネイ師に対する制裁は不当で、イランに対する侮辱だと見ている」「同師への制裁の解除はイラン側の要求であり、米はこれを受け入れる姿勢を見せている」「イランと米の交渉担当者らは、双方の核合意復帰に向けた一連の譲歩について検討している」と伝えた。
―イラク北部クルド地方のアルビールが、爆発物を積んだ無人機3機による攻撃に晒された。アルビール県知事は、「アルビール北部の村々に無人機3機が落ちた。米領事館から3キロほどの地点だった。人的被害はなかった」と発表した。在アルビール米領事館は、この攻撃を「イラクの主権に対する明白な侵害だ」と非難した。
―シリアの反体制派「シリア国民連合」は、「拷問の犠牲者を支援する国際デー」にあたり、シリア国内での拷問・侵害問題をICCに付託し、責任者を訴追して罰するよう改めて訴えた。同連合は「政権の刑務所で行われている拷問・殺害といった犯罪は、国際社会が直ちに解決すべき最重要課題の1つだ」と指摘した。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―イエメンのホウシー派傘下のメディアは、「サウジ率いる同盟軍が、マアリブ、バイダー、ジャウフの各県で同派の拠点に対し17回の空爆を実施した」と伝えた。一方、同盟軍は「同派がサウジ南部地域に向けて飛ばした爆弾を積んだ無人機2機を防空システムが迎撃・破壊した」「更に、同派がナジュラーンに向けて飛ばした無人機1機を防空システムが迎撃・破壊した」と発表。
―UAEの支援を受けるイエメン南部移行評議会(STC)のカシーリー広報担当は、「2019年に署名されたリヤド合意の関係者らとのあらゆる形のやり取りを停止する」と発表し、同合意実施を完了させるための協議に参加しているSTCの代表団に「相手方とのあらゆる形の接触・連絡を停止するよう」要請した。STCは、シャブワ県の座り込み広場に「民兵」集団が押し入った事件の後、「イエメン(正統)政府がリヤド合意を失敗させようと取り組んでいる」と非難しており、「この事件の問題が同合意実施の最優先事項とされるまで、この(やり取り停止の)立場を取り続ける」としている。
○ エジプト情勢
―シュクリー外相は、「エチオピアは、ルネッサンス・ダム関する責任を放棄しようと取り組んでいる」と非難し、「エジプトには、国民の利益を守る力がある」と強調した。これは、エチオピア側の新たな発言を受けてのもの。エチオピア軍の建設作業主任調整官は、RTのインタビューで「同ダムを守る用意があり、エチオピアの主権に抵触するいかなる攻撃も退ける用意がある」と改めて表明し、「エジプトが同ダムの破壊を望んだとしても、それはできない」と述べていた。
―オマル・スーダン内閣担当相は、「スーダン政府は、ルネッサンス・ダム問題への対応で平和的選択肢を堅持する」と確認し、「スーダンは、いかなる勢力が我が国の安全を脅かすことも許さない」と述べた。
○ 中東和平(占領地情勢)
―イスラエル治安部隊は、エルサレムのシェイク・ジャッラーハ地区で立ち退きを迫られているパレスチナ人家族の姉妹2人を拘束した。目撃者によると、同部隊は「姉妹が部隊要員の1人に唾を吐きかけた」との口実で殴打し、拘束・連行した。イスラエル当局は数時間後に2人を釈放し、病院へ搬送した。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―米軍は、アフガニスタン北部のバグラン、クンドゥズ両州でタリバンの拠点を無人機で空爆した。アフガン国防省筋によると、この空爆でタリバンの戦闘員数十人が死傷した。タリバンは、この空爆を非難し、「米政権は、自国軍の振る舞いの影響に対して責任を負うことになる」と警告した。また、タリバンは「アフガン国内の新たな拠点や複数の郡を戦闘なしに制圧した」と発表。一方、アフガン内相は「政府軍がタリバン支配下にあった10郡を奪還した」と発表した。
―アフガン政府筋によると、北部のクンドゥズ州での政府軍とタリバンの戦闘で、この1週間に民間人30人が死亡した。また治安関係筋によると、南部のカンダハル州で爆発により複数が死傷した。
タリバン政治事務所広報担当で交渉団メンバーのムハンマド・ナイーム氏(在ドーハ)の話:(タリバンは政府軍との戦闘を続けているが、これまでのところ撤退中の米軍を攻撃してはいない。「空爆の責任を負うことになる」という警告は、米軍攻撃を意味するものか、との質問を受けて)特に我々には(そうすることは)できないが、こうした挑発行為が続けば、その余波があることは疑いない。ジハード戦士らを刺激することになるからだ。これは問題を生じさせ、アフガン・米両国民にとって利益となるものではない。米は、(ドーハ)合意で約束し、米大統領が発表した通りに、アフガンからの撤退に集中すべきだ。米には、我々の国内問題に介入する権利はない。
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
―「ティックトック・ガールズ」として知られるエジプトの女子大生らの釈放を求める3人の支援者(女性)が、上半身裸でパリのエジプト大使館前で抗議行動を行った(動画)。
―カイロ大学考古学部の学生ハニーンは、SNSで人気を集める「活動家」であるが、若い女性に、「自宅から自分の動画を撮影して投稿するよう」呼び掛けたことが「風紀を乱す行為の扇動、人身売買」等の罪に当たるとして懲役10年、罰金20万ポンド(約13000ドル)の判決を受けた。他にも懲役6年の女性。この事件を巡り、表現の自由か否か、議論を呼んでいる。(BBCアラビア語)
中東の新型コロナ動向
―エジプト保健省の幹部は、同国が中国の協力で進めている「エジプト製の」新型コロナ・ワクチン「シノヴァック」の接種への投入が今後1週間から10日のうちに可能になる、エジプトはこのワクチンを年間で4000万回分、生産する予定、と発表した。(アッシャルク・アルアウサト紙)
<特記事項・気付きの点>
―特になし