アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
14日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ イラク南部ナーシリーヤの新型コロナ患者を治療する施設の火災で約100人死亡、劣悪な公共サービスと怠慢の責任で当局に抗議するデモが発生。司法当局は高官らの逮捕を命じる
■ EU、「ルネッサンスダム問題の解決に向けたAUの努力を支持する」と声明。エチオピアは「段階的な交渉プロセス」に応じる姿勢を示す。エジプトとスーダンは「対抗措置を取る用意は出来ている」と声明
■ ドーハでアフガン和平協議再開へ。米は「アフガン周辺諸国に部隊を再配置する」と発表、露は反発。タリバンは外国部隊の残留を一切拒否する構え
■ 米、「核合意をめぐる交渉の第7ラウンド開催に向けて、代表団がウィーンに戻る態勢にある」と確認。イランは「核合意再生の入口にいる」と発表
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―東京で13日、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で特別な措置が取られる中、オリンピック・パラリンピックの選手村、そしてメインプレスセンター(MPC)がオープンした。東京五輪は緊急事態宣言下で無観客での開催となる。
(レポート要旨)
新型コロナの感染拡大のため、東京で緊急事態宣言が発令されている中での選手村のオープンセレモニーとなった。例年とは異なり報道陣は入れず、フェンスで囲まれた選手村の外側には警察の車両が配置された。そんな中を五輪に参加するいくつかの選手団を乗せたバスが入っていった。IOCによると、選手村に滞在する人の8割方がワクチン接種を済ましている。小池都知事は、「選手らはずっと選手村で過ごすことになる」「感染対策を取りながらも、彼らが楽しい時間を過ごせるよう努める」と述べた。東京湾に面したメインプレスセンターでの状況も、選手村と大して変わらない。同センターには、世界のメディアを代表する約6千人が到着する予定。当局は、検査所への立ち寄り、ソーシャルディスタンシング等、記者らが従うべき様々な感染対策を定めた。聖火リレーも新型コロナの影響を受け、各地でルートが変更された。都内では閉鎖された会場で、無観客で点火セレモニーが行われた。
―東京五輪・パラリンピックが近づく中、ドーハの訓練キャンプに滞在する難民選手団は、2度目の五輪に参加する用意を開始した。難民選手団は、「何百万もの難民が苦しんでいる危機の大きさに世界の目を向けたい」と望んだバッハIOC会長の発案によって結成された。2016年のリオデジャネイロ大会当時、選手は10人だったが、今回は29人に拡大。12種目に参加する予定となっている。コーチ・担当者ら20人も参加する。
○ イラン・イラク・シリア情勢
―イラク南部ジーカール県の保健局は、「県都ナーシリーヤのフセイン病院で発生した火災による死者が92人に達した」と発表した。イラク国営通信によると、同県保健局の局長を始めとする13人の高官について、逮捕・取り調べを行うための令状が出された。ナーシリーヤ中心部では、住民がデモを行って劣悪な公共サービスに抗議し、職務怠慢を犯して火災を引き起こした責任者らの処罰を求めた。同県の民間防衛隊は、「火災に先立ち、フセイン病院の隔離施設で酸素が漏洩していることを警告した」と明らかにした。
―ラビエイ・イラン政府報道官は、「イランは核合意再生の入口にいる。国民は合意の恩恵を受けるだろう」と述べた。これに先立ち、プライス米国務省報道官は「米には、イランの核開発計画に関する同国との間接協議を再開する用意がある」「マレー米イラン担当特使率いるチームは、第7ラウンドの協議を行うためウィーンに戻る態勢にある」と発表した。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―特になし
○ エジプト情勢
―EUとシュクリー外相の会合後、スタノ欧州委員会報道官は、「EUはルネッサンスダム問題の解決に向けたAUの努力を支持する」と発表した。一方、シュクリー外相は「エジプトの諸機関は、適切な時期に講じるべきバランスの取れた選択肢を検討している」と述べ、「エジプトは問題を軽んじることなく国民の利益を守る」と強調した。
―エチオピア外務省は、「ルネッサンスダムの貯水・稼働をめぐる3か国の交渉が政治問題化されていることは遺憾だ」と声明し、「問題解決に向けてAU議長が提案した段階的な交渉プロセスに基づいて取り組む用意がある」との姿勢を示した上で、エジプトとスーダンに誠実に交渉するよう呼びかけた。
―エチオピアのルネッサンスダム全国評議会の計画・建設委員会メンバーであるタラフン・エルドノ氏は、「ルネッサンスダムについてエジプトとスーダンが望んでいる拘束力のある合意は、下流の両国にナイル川の水の独占権を付与する植民地主義的かつ一方的な協定の永続・延長を目指すものだ」「エチオピアにダム貯水に関する拘束力のある合意を受け入れるよう強制できるような国際法は存在しない」「エチオピアはダムの貯水の2度目の貯水を中断せずに続けねばならない」と述べた。また、「ルネッサンスダムによる悪影響は一切ないことをエジプトとスーダンの国民は後に理解するだろう」「2度目の貯水完了後、国際的な圧力は非常に弱くなるだろう」と予測した。
―イブラーヒーム・スーダン国防相は、「スーダンの治安・防衛評議会は、安保理での会合についてのブリーフィングを受け、自国の権利を維持するために講じるべき具体的な措置をめぐって協議した」「同評議会はルネッサンスダム高等委員会の緊急会合、および対エチオピア国境付近のロセイレス市での治安・防衛評議会の緊急会合を開催し、この件の展開をめぐって協議を行うことを決定した」と発表した。
○ 中東和平(占領地情勢)
―特になし
○ 国際テロ・過激主義情勢
―アフガニスタンのアブドラ国家和解高等評議会議長は、「ドーハで開かれるタリバンとの会合(和平協議)は、これまでとは異なるレベルで話し合う機会となる」と述べた。また、カービー米国防総省報道官は、「米は対テロ作戦の支援のやり方をめぐって、アフガニスタンの周辺諸国との協議を続けている」と発表した。一方、タリバンは「外国部隊の残留は、それがいかなる名称・口実の下でも占領とみなされ、タリバンはこれを阻止する」と警告した。また、露は米に対し、アフガニスタンから撤収した部隊を周辺諸国に移さないよう警告した。
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―特になし
エリコの目
―在イスラエル米国大使館は先週、同国独立記念日を祝うレセプションを開催したが、仏、独等欧州諸国の大使はエルサレムをイスラエルの首都とは認めないとの立場から、この祝典への出席を見合せていたことがわかった。(アナドール通信/アルクゥドス・アルアラビー紙)
中東の新型コロナ動向
―92人が焼死するという2回目の新型コロナ病棟火災が起きたイラクでは、第3波の感染が爆発的に拡大している。市民の間にはワクチンの安全性に対する疑念が広がっており、ワクチンを嫌う人ほど感染予防措置を守らない傾向(「ワクチンもマスクも嫌い」)がある。ワクチン接種率は国民の1%未満に留まっている。13日の新規感染者数は9,046人と、2日連続で9千人台を記録した。(アッシャルク・アルアウサト紙ほか)
<特記事項・気付きの点>
―特になし