アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
25日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ エチオピア、ルネッサンス・ダムの建設完了に向けた寄付のプラットフォームを立ち上げ。エチオピア高原からの水の流入増を受け、スーダンのロセイレス・ダムは放流量を増やす。露は、「原則宣言」を堅持するよう呼びかけ
■ イラク・米戦略対話が行われる中、アルビールにある有志連合の基地が無人機攻撃を受ける。イラクの武装諸勢力は「米軍が撤退しなければ攻撃を激化させる」と警告
■ アフガニスタン政府、タリバンと対峙するために、国内の大半の州に外出禁止令を発令。タリバンは、「東部ナンガルハル州で、政府軍兵士多数が我々の側に加わった」と明らかにする
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―イラク・米戦略対話でフセイン外相が「イラクはまだISと対決するために有志連合との協力を必要としている」と発言したことを受け、イラクの武装諸勢力は声明を出し、「米軍の最後の兵士が撤退するまで、米の拠点に対する攻撃作戦を激化させる」と警告した。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、米とイラクの当局者らは、「イラク駐留米軍の戦闘部隊を今年末までに撤退させるという声明を発表するつもりだ」と述べた。
―イラクに駐留する対IS有志連合の報道官は、「北部クルド地方のアルビールにある同連合の基地が24日朝、無人機による攻撃を受けたが、人的被害はなかった」と発表した。「革命家旅団」を名乗る武装勢力がこの攻撃を実施したことを認め、「アルビール郊外にあるハリール基地を攻撃し、基地内の設備に損害を与えた」と発表した。同基地は、米軍がイラクとシリアでの作戦実施のために使用している。
―トルコ国防省は、「シリア北部の『ユーフラテスの盾』作戦地域でトルコ軍の車両が攻撃を受け、兵士2人が死亡、2人が負傷した」と発表。(0553JST、字幕速報)
―レバノン軍司令官が「現在の経済悪化が続けば軍を含むすべての国家機関が崩壊する可能性がある」と警告した後、アラブ諸国や国際社会から同軍への支援が増えている。また同軍は、国内の経済危機の影響に立ち向かうため、米ドルによる更なる収入を確保する様々な手段を考え出した。民間人向けの軍用ヘリによる観光フライト・プログラム(1フライト15分間で150ドル)の開始といった手段。
―イラク・レバノン両政府は、発電用の燃料油100万トンをイラクからレバノンに輸出する契約に署名した。この契約は、数週間中に実施が開始される予定
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―サウジのメディアによると、サウジ率いる同盟軍の防空システムが、イエメンのホウシー派がサウジ南部に向けて飛ばした爆弾を積んだ無人機3機を迎撃・破壊した。
○ エジプト情勢
―露外務省は、「エジプト・スーダン・エチオピアの3か国の間の緊張増大を避けるために、ルネッサンス・ダム問題を政治問題化させないよう」呼びかけ、「露・エチオピア間の軍事・技術協力を同ダム問題と結びつけようとする試みを拒否する」と表明した。また同省は「同ダムをめぐる3か国間の対立は、2015年に署名した『原則宣言』合意に基づいて交渉により解消すべきだ」と促した。
―エチオピアは、「ルネッサンス・ダムの建設完了を支援するために国民に寄付を促す新たなプラットフォーム『サッディ』を立ち上げた」と発表した。アビー首相は、「このプラットフォームの目的は、在外エチオピア人が同ダム建設に貢献できるようにすることにある」と述べた。
○ 中東和平(占領地情勢)
―特になし
○ 国際テロ・過激主義情勢
―アフガニスタン内務省は、首都カブールとナンガルハル、パンジシール両州を除く各州に午後10時から午前4時の間の外出禁止令を発令した。州をまたいだ旅行も禁じられる。「タリバンの攻撃拡大を食い止めるための措置」としている。
―アフガニスタン国内の多くの州で戦闘が続く中、ガニ大統領は「カブールでの治安状況の改善」を称賛し、「同市の経験を国内全体に広く行き渡らせるよう」呼びかけた。一方、タリバンは「東部ナンガルハル州のスピンガールで、政府軍の兵士46人がタリバンの部隊に加わった」と発表した。
元米下院アフガン問題顧問のケネス・カッツマン氏の話(ワシントンから):(米軍が23日にカンダハル、ヘルマンド両州でタリバンを空爆したが)これは私を含む多くの専門家が予測していたことだ。米軍撤退後にアフガン政府・軍を支援する米の戦略は、主に空爆に頼ることになるだろう。実際にそれが、アフガン空軍やUAE・カタール・クウェートから来る米軍によって行われている。タリバンには空軍部隊はなく、空軍は政府軍や米の強みであり、空爆によってカンダハル、ジャララバード、カブールといった大都市でタリバンが更なる支配地域を獲得することを食い止めるのに成功する可能性が非常に高い。(タリバンは「空爆がドーハ合意に影響する」としているが)タリバンは支配地域を広げて前進し、政府を打倒して国を支配しようとしている。こうした中で、同合意がまだ有効だと言えるだろうか。米はタリバンによって制圧された地域を政府が取り戻すことを望んでおり、バイデン大統領はその支援のために、米軍が空からアフガニスタンを確実にカバーするという手段を検討するかもしれない。
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―エチオピア高原からの水の流入増を受けて、スーダンのロセイレス・ダムの管理当局は、同ダム湖からの段階的放流を加速させた。
―東京五輪の開会式で、戦争によって数年前から離れ離れになっていたシリア人選手の兄弟が再会し、抱き合う様子が撮影された。1人はシリア代表として、もう1人は五輪旗の下で難民選手団代表として五輪に参加する。この再会の写真は、SNS上で大きな反響を巻き起こした。
エリコの目
―米国の敵、イランはイラクやシリアの非合法民兵組織を通じて、ロシアは民間軍事会社ワグナーやハッカー集団を通じて、「代理戦争」を仕掛けている。大航海時代から存在するこの型の戦争は責任回避が容易である特徴からすたれることがない。米国も対抗したが現状うまく行っていない。米国の選択肢の一つは、これらの組織を保護する国に対して直接、強力に反撃することだ。(Hal Bransジョンズホプキンス大学H.キッシンジャー栄誉教授の主張の要旨。ブルムバーグが報じた。アルアラブ紙)
中東の新型コロナ動向
―イスラエルの企業が経口錠剤型の新型コロナワクチンを開発し、一カ月以内にも臨床試験が開始される予定。「オラメド薬品」が開発したこのワクチンは、豚に抗体が生成されることを確認し、当局の認可を得て来月24人の非接種者の協力を得て臨床試験が行われる。同社CEOは、「この開発は、インドのようにまだワクチン接種率が5%に留まっている国の『ゲーム・チェンジャー』となる可能性がある」と述べた。(RTアラビア語・英語)
<特記事項・気付きの点>
―特になし