2021年8月10日 (No.21132)

アルジャジーラ・モニタリング

<ニュース・ヘッドライン>

10日0600JST「ミッドナイト・ニュース」

■ アフガニスタンの複数の州の中心部で戦闘が激化する中、タリバンは「交渉が頓挫すれば、カブールに突入する」と脅迫。アフガニスタン大統領は地元住民の武装化を決定、米は空爆による政府軍支援を再び実施

■ 米露の参加の下、ドーハでアフガニスタン情勢をめぐる会合開催へ。独は「新たな長期的戦闘任務なくして、タリバンを止めることは出来ない」と述べる

■ 米高官ら、対イラン制裁の限定的軽減を含む核合意の代替措置に言及。露はウィーン協議が近く再開されることを望み、イランは核合意の完全履行を堅持

<特定関心項目報道ぶり>

○ 日本関連報道

―特になし

○ イラン・イラク・シリア情勢

―米ブルームバーグは、「米はイランとの核合意に関する選択肢の見直しを行っている」「米は合意に資する代替措置を講じる用意がある」「数か月間の交渉を経ても各参加者が合意に達することが出来なかったことを受け、米はこの立場を取った」「米は、イランが挑発的な核活動を止める見返りに、同国に対する制裁の限定的な軽減を段階的に行う用意がある」と伝えた。
一方でイラン外務省は、「イランはウィーン協議を放棄せず、核合意の完全履行以外を受け入れない」と発表した。

―ライシ・イラン大統領は9日にマクロン仏大統領と電話会談を行い、「イランは地域における安全と安定の確保に真剣だ」「増加する米の制裁と、欧州諸国が(核合意の)約束を順守していないため、核合意は今の状態になった」「イラン人の権利の保証は、今後のいかなる交渉においても超えることのできない優先事項だ」と述べた。また、域内の航行については、「湾岸海域およびオマーン海の安全と安定を揺るがすいかなる行為に対しても、イランは毅然と力強く対処する」と述べ、レバノン情勢については「イランは仏の取り組みを歓迎する。レバノンの安全と安定(実現に向けた)いかなる行動も支援する」とした。一方でマクロン大統領は、核合意の再建に向けたウィーン協議に戻るようイランに呼びかけた。

―イラン高官筋はニュースサイト「ヌールニュース」に対し、「イスラエルが4日に、艦艇2隻と共にドルフィン級潜水艦を紅海に向けて派遣したとの情報がある」と述べた。

―安保理は9日、先月末にオマーン沖で起きたイスラエルのタンカー「マーサー・ストリート」への攻撃をめぐる緊急会合を開催した。会合でブリンケン米国務長官はイランを改めて非難し、「攻撃の責任者に制裁を科す」と述べた。また、英国務相は「イランが無人機でタンカーを攻撃した」と述べ、「海上におけるいかなる敵対活動への対策を講じるよう」呼びかけた。

○ サウジ・イエメン・湾岸情勢

―特になし

○ エジプト情勢

―特になし

○ 中東和平(占領地情勢)

―特になし

○ 国際テロ・過激主義情勢

―アフガニスタン国防省は9日、「北部バグラーン州で政府軍の空爆によりタリバン戦闘員の22人が死亡した」と発表。また、政府軍は9日に、「陸空の攻撃で過去24時間にタリバンの579人以上を殺害した」と発表した。
―タリバンがサマンガーン州州都アイーバクの制圧を発表した後、バルフ州州都マザーリシャリーフで政府軍とタリバンが激戦を繰り広げている。タリバンは「複数方面から同市を攻撃した」と発表したが、政府軍はこれを否定。

―バルフ州知事報道官は、「政府軍とタリバンが同州デダーディー郡で交戦した」と述べた。一方で国防省筋はアルジャジーラに対し、「同州の政府軍司令官がカブールに戻った」と述べたが、理由は明らかにしなかった。

―米ブルームバーグによると、タリバン報道官は「交渉が頓挫すれば、タリバンは政権転覆に向けてカブールを含む各都市に突入する」「タリバンは、戦争がこれ以上激しさを増す前に、政治和解が実現すると予測している」と述べた。一方でアフガニスタン大統領府報道官は、「タリバンとの戦闘のため、ガニ大統領は地元住民の武装化を決定した」「政府は今も交渉に前向きだが、タリバンが交渉から身を引いている」と述べた。

―カービー米国防総省報道官は、「アフガニスタン人には自国を守る責任がある」「彼ら(アフガニスタン側)は自らの軍部隊、州都、国民を守るべきだ」「タリバンは陸で前進した。米は空爆を通じてアフガニスタン政府軍に対する支援を継続する」「政府軍は陸で変化を起こす能力を有している」と述べたほか、「米は、パキスタンが国境を通じてタリバンに『安全な隠れ家』を提供することに懸念を示した」と指摘。

―クランプカレンバウアー独国防相は、「非常に長期的で困難な新たな戦闘任務なくして、タリバンを敗北させることは出来ない」「クンドゥーズをはじめとするアフガニスタン各地からの報告は非常に恐ろしく痛ましいものだ。独軍が駐留を続けていた場合でも、タリバンは攻撃を行っていただろう」と述べた。

―グリフィス人道問題担当国連事務次長は9日、アフガニスタンの全当事者に対し「国際人道法および国際人権法の順守、民間人の保護、人道援助活動の保証」を呼びかけた。

―カタールのドーハで、アフガニスタン情勢をめぐる会合が10日、12日の2日間開催される。米露を含む複数の国が参加し、支援の強化と、アフガニスタンの平和と安定の実現に向けた域内外の調和を目指す見通し。

○ マグレブ情勢

―チュニジア大統領府の発表によると、同国を訪問中のザイヤーニー・バーレーン外相は9日、「バーレーンはサイード大統領の取った諸決定を支持する」と述べ、「チュニジアで起きたのは主権的なものであり、どの方面にもそれに介入する権利はない」とするバーレーン国王のメッセージを口頭で伝えた。サイード大統領はザイヤーニー外相を大統領宮殿で迎えた際に、「最近取った例外的措置は、国とその能力を弄ぶ行為に終止符を打ち、責任を負うことを目的としたものだ」と述べた。
こうした中、チュニジア検察は9日、汚職に関与した疑惑のある元閣僚ら12人の渡航を禁止した。

○ トルコ情勢

―特になし

<その他の重要ニュース要旨>

―特になし

エリコの目

―エルサレム・ポスト紙の報道によると、関係正常化以来のイスラエルとUAEの貿易総額は、5.7億ドル(イの輸出1.97億ドル、輸入3.72億ドル)に達した。年内に10億ドルが達成される見通し。商工会議所によれば、500社以上のイスラエル企業がUAEの企業と取引をしている。関係者は、イスラエルにとってUAEは「数十億人の世界市場へ到達する上で唯一無二の輸出先だ。南アジア、東アフリカ等の市場はこれまでアクセスできなかった」と述べた。また、UAEのイスラエル企業への投資の増大に期待を寄せ、「UAE企業によるイスラエル企業の株式取得が飛躍的に伸びる」との見通しを示した。(アルクドゥス・アルアラビー紙)

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中東の新型コロナ動向

―イランにおける感染拡大については昨日もお伝えしたが、イラン国営TVは、「約2分に1人のペースで新型コロナによって人が亡くなっている」と報じた。
9日発表の1日の死者数が588人と過去最高値を更新したことを受けたもので、政府は、市民が社会的距離などの予防措置を無視していると不満を述べているが、医療施設はもはや患者を受け入れることができない状態である由。
ハメネイ師は1月に「英米のワクチンは信頼できない」と述べてワクチン輸入を禁止したが、その後、感染拡大が起きた。SNSでは、政府のワクチン接種への取り組みが遅すぎると批判されている。ライシ大統領は、現状接種率が4%に留まっている接種プロセスの迅速化を呼び掛けている。(アッシャルク・アルアウサト紙)

إيران: وفاة بـ«كورونا» كل دقيقتين وإصابة كل ثانيتين (صور)
ذكر التلفزيون الرسمي الإيراني، اليوم الاثنين، أن شخصاً يلقى حتفه كل دقيقتين بـ«كوفيد - 19»، في الوقت الذي سجلت فيه الدولة الأكثر تضرراً في الشرق الأوسط من الجائ...

<特記事項・気付きの点>

―特になし

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