アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
19日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ レバノンのナスララ・ヒズボラ書記長、ベイルートのタイユーナ地区での事件を「節目となる危険なもの」と評し、「LFは国家を内戦に引きずり込もうとしている」と非難。LFは否定し、「組織的戦闘に関するいかなる決定もなかった」として「捜査に協力する用意がある」と述べる
■ スーダンのハルツームで暫定政府の解散を求めるデモが続き、警察は、閣僚評議会の建物にデモ隊が到達するのを防ぐために催涙ガスを使用。政府は全当事者から成る危機管理委員会の設置を発表
■ 米、「イランが核合意を再び順守するまで、対イラン制裁を継続する」と発表。イラン大統領は「真の成果を上げるべく交渉に取り組む」「イランは核合意の将来のために自国の経済を取引材料にするつもりはない」と述べる
■ イラク大統領、「選挙結果に対する抗議は平和的な性質を維持すべきだ」と述べる。選挙で勝利した政治諸勢力は「選挙結果を尊重するよう」求める
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―イラン核開発問題に関してプライス米国務省報道官は、「ブリンケン国務長官とサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)から、5日に行われたイスラエル側との会談後、『米大統領はイランとの外交が失敗した場合、他の選択肢に依拠する用意があるとの意向を明確にした』と聞いた」「イランが外交路線を選択せず、核合意の義務を再び履行しない場合、対イラン制裁は継続される」「イランの要請に基づくブリュッセルでのEU代表団とイランとの会合(ウィーンで再開される協議の準備会合)は不要だ」「主要6か国は、ウィーンでの協議の第7ラウンド再開の必要性で一致している」と述べた。
―ライシ・イラン大統領はイラン国営テレビで、「我々は核合意をめぐる交渉の成果のために自国の経済を取引材料にするつもりはない」「イランは真の成果を上げるため、実りある交渉に真剣に取り組んでいる」「相手も真剣さを示して、制裁を解除することができる」「数日前にテヘランでEU側に、イランは交渉に真剣であるが、相手も真剣であるべきだ、と伝えた」と述べた。
―イラクでは、議会選挙の結果をめぐって政治的立場が分かれ、抗議デモの呼びかけが続き、厳重な治安警戒態勢が敷かれる中、サーレハ大統領は、「国民の団結、対話の優先、憲法上の手続き・平和路線・国民の要求の尊重、高次の国益の優先」を政治諸派に呼びかけた。一方では、有力者らが政治全派を対話のテーブルに着かせるべく、取り組んでいる。
―レバノンのナスララ・ヒズボラ書記長は、14日のベイルートでの衝突事件に関してテレビ演説を行い、「同事件は重大で、危険で、節目となるものだ。最近、発生した似たような事件とは大きく異なっている」「レバノン軍団(LF)は自身が支配するキリスト教国を樹立しようとしている」「LFの現在の計画は内戦だ。内戦はその目的を実現する助けとなるからだ」と述べた。また、ジャアジャアLF党首と同党メンバーに対して、「判断を誤らず、理性的になり、教養を示して、あらゆる自身の戦いやあらゆるヒズボラの戦いから教訓を得るよう」求め、「ヒズボラには10万人以上の戦闘員がいる」と警告しつつ、「それは内戦や国内での殺し合いのためではなく、国家を守るための準備(武装)である」と述べた。
―LFの外交関係責任者で元閣僚のリチャード・クユムジャン氏はアルジャジーラの番組にリモート出演し、「LFはいかなる内戦も引き起こそうとはしておらず、また、(ベイルートの)タイユーナ地区を標的とした組織的戦闘に関するいかなる決定も党による決定もなかった」「LFは当初から、タイユーナ地区での事件の調査に協力する用意がある、と表明している」と述べた。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―イエメンでサウジアラビア率いる同盟軍は、「マアリブ県アブディーヤ郡で、ホウシー派の戦闘員や軍用車両を標的として、24時間に38回の攻撃を実施した」と発表。
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―特になし
○ 国際テロ・過激主義情勢
―ハリルザド米アフガニスタン担当特別代表はアルジャジーラに対し、辞任の意向を確認した。これに先立ち、CNNは、2つの情報筋の話として「バイデン政権は、同代表の辞任と、後任として副代表を務めていたトム・ウェスト氏の就任を発表する予定だ」と報じていた。これは、アフガニスタンからの撤収が混乱し、流血の事態となったことが背景にあると見られる。ウェスト氏は、バイデン政権移行チームにおいてアフガニスタンに関する政策の担当局長を務め、ここ数か月間、ハリルザド氏と緊密に活動していた。
○ マグレブ情勢
―特になし
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―スーダン閣僚評議会は臨時閣議を開き、現在の危機に対処するために全当事者から成る合同危機管理委員会の設置と、スーダンの(民主的な民政移行の)強化・保護・安定・成功を目的とした現実的な解決策についての迅速な合意にコミットすることを決定した。同委員会はハムドゥーク首相を委員長とし、軍人メンバー2人、自由変革勢力の中央評議会グループから2人、同勢力の国民合意憲章グループから2人の代表から成る。ハムドゥーク首相は、「平和的な対話が、現在の危機を打開する唯一の手段だ」と述べた。
―スーダン警察が、ハルツームの閣僚評議会の建物の周辺に到達したデモ隊を解散させようとして2人が負傷した。デモは「自由変革勢力-国民合意憲章グループ」による暫定政府の解散を求めるデモの一環。治安部隊は、閣議が行われていた建物に何回も入ろうとしたデモ隊に対して、催涙ガスを使用した。
―「自由変革勢力-国民合意憲章グループ」の幹部ミナウィ氏(ダルフール地方長官、「スーダン解放運動ミナウィ派」代表)は、デモを実施している同グループの支持者らの前で演説し、「ブルハーン統治評議会議長とハムドゥーク首相へのメッセージは、移行期間が乗っ取られたということだ。かつて革命前に(国家を)乗っ取っていたのは1つの党(国民会議党)だったが、今度は4つの党(名指しせず。「同勢力-中央評議会グループ」などを示唆)に乗っ取られた。これを終わらせる必要がある」「同グループは、犯罪者以外、誰も排除することを望んでいない」と述べた。
―ラブロフ露外相は、「スーダンへの内政干渉を止める必要があり、スーダン人が自身の将来を決定すべきだ。これが我々の基本原則だ。この原則に抵抗する全ての者が、危険な紛争の中心地の新たな出現を阻止することに責任があると認識するよう望む。それはアフリカ大陸の安定を揺るがすものだからだ」と述べた。
エリコの目
―「ムスリム同胞団」幹部の多くはエジプト国外に退避しているが、ロンドン派とイスタンブール派に分かれた対立が激化している。対立は、ロンドンのイブラヒム・ムニール最高指導者代行が、「解消」を宣言して鎮静化を図っているのに対し、イスタンブールのマハムード・フセイン前書記長が別の「最高指導者代行」を任命する動きを見せていることで顕在化している。背景に外国勢力の介入があり、同胞団が現在置かれている立場を考えれば当然である、と専門家は指摘している。(アッシャルク・アルアウサト紙)
<特記事項・気付きの点>
―特になし