2021年10月21日 (No.21204)

アルジャジーラ・モニタリング

<ニュース・ヘッドライン>

21日0600JST「ミッドナイト・ニュース」

■ シリア南東部タナフにある有志連合軍の基地で爆発。シリア政府消息筋は「無人機による攻撃」と伝える

■ 国連安保理、声明でホウシー派によるサウジへの越境攻撃を非難し、全当事者が攻撃激化を停止する必要性を強調。イエメン政府には「燃料輸送船のホデイダ港への定期的入港を促進するよう」呼びかけ

■ スーダン職能者連合、デモの前日に「完全な民主化・民政移管」の重要性を強調。国民憲章グループは、政府解散を求める座り込みを継続。米は、軍民双方に「協調による対立解消」を呼びかけ

■ イラクで議会選挙の結果に反対する諸勢力の支持者らがグリーン・ゾーン付近で座り込みを続ける。政府は「平和的デモは、法に反しない限り、憲法で認められた権利」と確認

■ チュニジア議会議長局、「反議会キャンペーンは、共和国の価値観への打撃であり、国家の威信を損なうものだ」と指摘、最高司法評議会議長は「行政機関による司法の浄化は国際的基準に反する」と述べる

<特定関心項目報道ぶり>

○ 日本関連報道

―特になし

○ イラン・イラク・シリア情勢

―イラクの首都バグダッド中心部のグリーン・ゾーン付近で、議会選挙の結果に抗議する「シーア派諸勢力調整フレームワーク」傘下の政治連合・政党の支持者らが、開票・集計作業の手作業によるやり直しや「選挙結果を改竄した者たち」の処罰を求めて座り込みを続けている。アーミリー元運輸相率いる「ファタハ連合」や「アサーイブ・アハル・ハック」「カターイブ・ヒズボラ」などが参加する同「フレームワーク」は、「発表された選挙結果は公正なものではない」との見方を示した。こうした中、選挙管理委員会は「議会選挙の結果に対して申し立てられた不服の審査を開始した」と発表した。政府は、「平和的なデモは、法に違反しない限り、憲法で認められた国民の権利だ」としている。

―シリアの首都ダマスカス中心部で軍用バスを狙って爆弾2発が爆発し、軍の兵士14人が死亡、数人が負傷した。同市内では、ここ数年で最も激しい爆発。政府は「テロ行為だ」としているが、いずれの勢力からも実行声明は出ていない。一方、北部イドリブ郊外のアリーハでは、政府軍の砲撃により子供・女性を含む民間人13人が死亡した。

―ロイター通信が米当局者の話として伝えたところによると、シリア南部にある米の拠点で爆発が起きた。米国人に犠牲者が出たとの報告は入っていないとのこと。シリア国営通信は、メディア関係者の話として「南東部にある(対IS有志連合軍の)タナフ基地が無人機による攻撃を受け、爆発が起きた」「米軍関係者が、同基地がミサイル攻撃を受けたことを確認した」と伝えた。

―UAE国営通信によると、ムハンマド・アブダビ皇太子がアサド・シリア大統領と電話会談し、シリアや中東地域の情勢のほか、両国間の関係や様々な分野での協力について協議した。

―レバノン・イスラエル間の海上国境画定問題で仲介者を務めるホクスタイン米国務省エネルギー安全保障担当上級顧問がベイルートを訪問し、アウン大統領、ミーカーティ首相、ベッリー議会議長らレバノンの指導者と会談した。同顧問は、レバノン側に「米は、海上国境に関しレバノン・イスラエル両国が受け入れ可能な解決策を見いだせるよう支援する用意がある」と伝えた。これを受けて、ベッリー議長は「イスラエルとの間接的交渉を再開する新たな機会がある」と述べた。

○ サウジ・イエメン・湾岸情勢

―国連安保理はプレス声明を出し、イエメンのホウシー派によるサウジへの越境攻撃を非難した。声明は、「民間・商用船に対する攻撃の増加は、アデン湾と紅海での船舶の海上安全にとって大きな脅威となっている」とし、「同派によるマアリブでの攻撃激化を含む全当事者による攻撃激化を停止すべきだ」と強調した。また、イエメン政府に対し「燃料・人道支援物資の輸送船のホデイダ港への滞りのない定期的な入港を促進するよう」呼びかけた。

○ エジプト情勢

―特になし

○ 中東和平(占領地情勢)

―特になし

○ 国際テロ・過激主義情勢

―モスクワでアフガニスタンに関する「モスクワ型」国際会議が開かれ、タリバンも参加。参加者らは、「国連主導によるアフガン支援国会議の開催を提案する」と発表。最終声明は、「アフガン暫定政府を正式に承認するかどうかに関わらず、アフガニスタンとタリバンに対応すべきだ」とし、アフガン当局に「すべての政治・民族勢力の利益に合致する包括的政府を樹立し、友好的で穏健な外交政策を取るよう」呼びかけた。また、「同国内でのテロ組織の活動」に懸念を示し、「地域の安全・安定を保障するための支援を提供する用意がある」と確認。参加者らは、アフガン暫定政府が「アフガン領土を隣国を脅かすために利用することを禁じる」と約束したことに安堵を示した。また同会議は、「復興の負担の主要部分は、過去20年にわたり同国に軍を駐留させ続けた国々が負担すべきだ」と強調した。一方、同会議に参加したアフガン暫定政府代表団は「同会議は望みを与える会合で、参加諸国は暫定政府への支持を表明し、『米がアフガン資産の凍結を解除する必要性』を確認した」と述べた。

○ マグレブ情勢

―チュニジアのサイード大統領の決定により活動停止中の議会の議長局は、「議会議員への給与支払いを停止するとした大統領の決定は憲法第80条に違反するものだ」「この決定は、議員らに甚大な社会的・人道的影響を及ぼす」とし、大統領に「違憲な諸決定を撤回するよう」呼びかけた。また「議会を『悪魔化』する組織的キャンペーンは、共和国の価値観への打撃であり、国家の威信を損なうものだ」と指摘した

―ブーザーヘル・チュニジア最高司法評議会議長は、「行政機関によるリストに基づいた司法の浄化は、国際的基準に反する間違った路線であり、悪影響を及ぼす可能性がある」「こうした路線は2012年に試みられ、失敗したことが証明された」と述べた。これは、サイード大統領が折に触れて「司法の浄化」を訴えていたことに対する発言。

―欧州議会は21日、チュニジア情勢に関する決議案の採決を行う予定。同案は、「完全な民主主義に戻り、議会活動を始めとする国家機関の通常業務をできる限り早急に再開するよう」呼びかけ、「チュニジアの民主主義を弱体化させる専制主義的体制への外国の介入」に対する同議会の懸念を示す内容。また「チュニジアに憲法裁判所がないことが、憲法第80条の拡大解釈・適用を許している」と指摘。

―米国務省によると、レンパート国務次官補(近東担当)が、チュニスでジェランディ・チュニジア外相と会談し、リビア情勢などについて協議した。チュニジア外務省は、フェイスブック上で「ジェランディ外相はレンパート国務次官補に対し『チュニジア新内閣の組閣は、大統領が民主化路線の修正によって国民の要望に応じる道において重要な一歩だ』と確認した」と明らかにした。

○ トルコ情勢

―特になし

<その他の重要ニュース要旨>

―スーダンの「自由変革勢力-国民合意憲章グループ」の支持者らは、政府の解散を求めてハルツームの共和国宮殿前で5日連続で座り込みを実施。同グループは、「いかなる軍事クーデターも、全体主義統治に戻ることも拒否する」と改めて表明し、「団結と憲法宣言の順守」を呼びかけた。一方、「抵抗委員会」「スーダン専門職能者連合」などの政治組織と共に21日に文民への権限移譲を求める「百万人デモ」を呼びかけている「自由・変革勢力-中央評議会グループ」は、政府の解散を拒否。

―スーダン専門職能者連合は、すべての部門に「21日の百万人デモに積極的に参加するよう」呼びかけ、「国民は一連の個人支配にうんざりしており、完全な民主化を実現する必要がある」と強調。

―米は、在スーダン大使館を通じて「軍人・文民間の協調を続け、憲法文書に基づいて危機を解決するよう」呼びかけ、「デモを平和的に行うよう」促した。

―ブルハーン・スーダン暫定統治評議会議長は、ハルツームでフォード英外務省アフリカ問題担当閣外相と会談し、「軍と文民側の双方は、スーダン国民の期待に応じる選挙で選出された文民政府の樹立に至る移行期を成功させるべく尽力している」と述べ、「憲法文書を順守し、軍人・文民間の協調を維持する」と強調した。

―ハムドゥーク・スーダン首相は、ハルツームで米「アフリカの角」担当特使代行と会談し、「革命をその目的の最後まで推し進めることを最も熱望しているのはスーダン国民だ」と述べた。首相府はツイッターで「首相は、米のスーダンの民主化・移行プロセスへの継続的な支援に謝意を表した」「米特使代行は、米がスーダンの民主化・民政移管への支援に取り組むことを確認した」と発表。

エリコの目

―UAE宇宙局は、イスラエル宇宙局(CNES)と宇宙開発・研究分野における協力を謳った覚書に署名した。調印式は、ドバイEXPO2020の「宇宙週間」を契機に来訪したハコーヘン科学技術相とアルアミリUAE宇宙局長官(先端技術相)の間で行われた。イスラエルは2024年に月着陸船を打ち上げる予定であり、これらの事業にUAEの民間会社2社が参加するなどの計画が進展する。(スカイニューズ・アラビア)

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<特記事項・気付きの点>

―特になし

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