ウクライナ危機の政治的解決

◆サウジ、ロシアが外相会談

 サウジアラビアのファイサル外相は1日、南アフリカのケープタウンでロシアのラブロフ外相 と会談、「ウクライナ危機の政治的解決策を見つけるためのすべての地域的、国際的努力を支援する立場」を再確認したという。サウジも参加 した 新興5カ国(BRICS) と 友好国の外相会合は、昨今言及されることの多い新興・途上国 「グローバルサウス 」を代表する集まりだ。

 ウクライナに対する軍事・経済支援で結束している西側先進諸国に対し、これら グローバルサウス 諸国が「中立」、場合によってはロシア寄りの立場を 取 ることは、ロシアに対する 西側の 政治的・経済的封じ込めがうまく機能しない主な理由だ。サウジは、そしてグローバルサウスは、なぜそのような立場を 取 るのか 。 約1カ 月前に読んだサウジ紙「アッシャルク・アルアウサト」の論説を要約すると次のようになる。

◆中国に仲介期待

 「ウクライナの反攻が待たれるが、抗戦を続ける限り多大な人的、物質的損失を避けられない。絶対
に負けられない ロシアの プーチン 大統領 は、いざとなったらウクライナ中を破壊し尽くす覚悟だろう。 ウクライナ の ゼレンスキー 大統領 自身、完全な勝利は不可能と理解しているはずだ。世界は重い病気に かか っているが、国際社会にはこれを治す医者がいない。米国 を はじめ西側主要国が紛争当事者だからである。そのような中、サウジ、イランの関係回復に貢献した中国の役割が期待される。中国には、漢方という東洋医学があるが、その特徴は、手術や投薬で病と闘うのではなく、鍼(はりや薬草で、体調を改善する(環境を整える)ところにある 」

 同紙のシェルビル編集長はこう指摘し 、ウクライナ、ロシア双方の仲介に意欲を示している習近平・ 中国国家主席 にゼレンスキー氏は「電話すべきだ」と勧める。先日はトルコ大統領にエルドアン 氏 が再選されたが、当初からロシアと対話し、停戦仲介を続けているトルコもまたグローバル サウスの重要メンバーだ。彼らは、双方痛み分けの政治的解決を、最もあり得るシナリオとして思い描いているのだろう。

◆中東テレビ局はG7サミット批判

 アラブ諸国の中でも親ロシアの立場を鮮明にしているアルジェリアの識者に、その心を聞いたことがある。いわく、「国際正義(西側の言う「法の支配」)が実現したためしがない。それを言うなら、今もイスラエルの占領に苦しむパレスチナ人を救済せよ。米国は正当な理由なく、イラクとアフガニスタンを破壊し尽くして一方的に撤退した。その米国が当事者である一方を、盲目的に支持できる はず がない 」

 彼らの眼前には、何ら国際正義が実現せず、国民を虐殺し続けたアサド政権がロシア、イランの
後ろ盾で君臨し続けている現実もある。そのような現実を肌で感じる グローバル サウス の人々にとって、先般 、広島市で開かれた 先進7カ国 首脳会議 (G7 広島 サミット) が打ち出した姿勢が「敵対的」「挑戦的」と映るのは無理もない。 中東の衛星テレビ局 アルジャジーラの 記者は、「広島サミットは(悪い意味で)人類の記憶に長くとどまる歴史的イベントとなるのではないか。 ロシアと中国という『核大国』に強い口調で挑戦状を突き付け、これらの国々とG7の間の衝突の出発点となった会議として」とリポートした。

 対ロシアでさら なる制裁強化とウクライナへの軍事支援を決めたこと、そして中国の政治的経済的拡張主義に警告を発したことは極めて「異例」というのだ。このように、 今回の G7のメッセージが、 平和都市広島からのものとして は ふさわしくなかったとの声は、被爆者だけが主張しているのではない。

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