【特集】中東の熱い冬

カダフィ vs アルジャジーラ
リビアはカダフィ一族という「暴力団」に牛耳られた国だった。その意味で民衆の蜂起には正当性があり、この一族と、彼らを支えた者たちは裁かれなければならない。
まず以上を確認した上での感慨だ。
カダフィ大佐という人物は確かに風変わりな人であったが、馬鹿ではない。否、非常に賢い男であった。40年を超える長きにわたり、独裁体制を維持できたのは、戦略的思考ができたからである。
カダフィの功罪は後世、研究されるだろうが、多くの「功」があったことが、ほとぼりの冷めた頃に言われ始めるだろう。今、カダフィをよく言う者はそれこそ刺し殺されかねない状況であるけれども。
功績のひとつは、イスラエルの悪を堂々と主張し、今日まで「アラブの大義」に命を与え続けたことだ。そして大義に背いているアラブ諸政権の欺まんを鋭く批判し続けた。アルジャジーラは、この文脈においてカダフィとは蜜月を送っていた。
しかし、チュニジアに始まった大変革の原動力となった、アルジャジーラの「民衆蜂起大キャンペーン」(「蜂起煽動放送」と呼んでもいいだろう)は、この「盟友」に猛然と襲いかかった。チュニジアとエジプト、ともに昔からアルジャジーラを敵に回していたので、戦いに敗れた政権が自壊するというのはある意味当然であったが、奇妙な呉越同舟をしていた相棒にも突如として牙を剥く、中東自由メディアの恐ろしさを、今回実感した。

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