【特集】中東の熱い冬

福島第一原発の状況が悪化し、放射能漏れが起きていることは私たちにとっての最大関心事にとどまらず、世界的な関心事である。それでも、今視聴しているアルジャジーラのニュースのトップではない。アラブの人々にとって、また、恐らく今後の国際政治で重要となる展開は、日本でどのように悲惨な災害が起きているかということとは関係なく進展している。その2つを紹介する。
トップ項目は、リビア情勢だ。リビアで「民衆革命」が起こり、「カダフィはもう死に体」、「国内で死ぬのか、どこの国が受け入れるだろうか」などと言われたのが数日前だったが、数日間地震のために目をそらしているうちに、カダフィ軍側が次々と拠点を奪還している。チュニジア国境に近いズワラの街をほぼ支配した模様だ。
反体制派が大した武器もなく、戦闘の訓練を受けているわけでもないのに対し、政府軍側には最新兵器と戦闘を知った軍人がついていることが原因かもしれない。国際社会の介入が期待されるが、アラブ諸国に反体制派を救済する力も意思もない状況下、欧米がどれだけ支援(それも軍事的な介入)ができるか否かが焦点となっている。飛行禁止区域の設定は安保理の反対があっても成立するかもしれないが、それだけでカダフィ一族を放逐できるかどうかは、あやしい。
無辜の市民にミサイルや戦車砲を向ける狂気の指導者から彼らを救済するために、国際社会は連帯して介入しなければならない。
もうひとつの重要ニュースはバーレーンにサウジアラビアとUAEの混成軍(治安維持軍)が入境したことだ。読者はよくご承知のようにバーレーンではシーア派住民による現体制(国王)への反乱が起きている。この介入は、湾岸協力会議(GCC)というスンニ派王政諸国間の防衛協定に基づくものとされ、スンニ派王政諸国が、シーア派住民の騒乱に断固とした姿勢を示したものだ。欧米は、この介入は「侵略」「内政干渉」ではない、としている。
この2つのニュースからわかるように、アラブでは、依然「人権」はあまり重視されていない。いや、アラブ人がそれを重視していない、ということではなく、人権擁護を口にする欧米に、本腰を入れてそれを守る決意はない、ということが白日のもとに晒されている、ということである。

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