それぞれの事情(その2)

チュニジアで成就した「市民革命」はこの国をよい方向へ導くかもしれないが、エジプトで起きた「革命」で国民は更なる苦難の道のりを歩かなくてはならないのでは、という趣旨のことを書いて、早や3か月近くが経過しました。
この二国では新体制作りの動きが徐々に進んでいる半面、アラブ世界では「革命」のインフルエンザに罹る国が続出、すごいことになっています。もっともその間、日本ではそれを上回るすごさの災害が起こり、メディアは震災報道一色となりました。そして、その報道にも人々が飽きてきたかと思えば英王室のロイヤルウエディングに飛びついて視聴率稼ぎの競争を続けています。人心のなんと移り気なことでしょう。この間、リビアの内戦も、シリアの虐殺も、イエメンの超大規模デモも、メディアは外電の映像をちらっと流すのみに終始しています。
<1>リビア
「朕が国家」であったカダフィ一族に対し、反乱勢力は徒手空拳で立ち上がったのだから苦戦は自明であった。リビアが2分割され、「朝鮮半島化」すなわち独裁者カダフィの治める西リビアと、親欧米の東リビアが出現するのではないかとの分析や、カダフィー組の結束が乱れており、いくつかの軍士が出現するとの分析など飛び交っている。暫定国民評議会(反乱勢力)は、国民の信頼を得ている。これ以上無辜の市民に犠牲を出さないために、国際社会は武力を行使してカダフィを放逐しなければならない。日本は積極的に貢献すべきである。
<2>シリア
大変な内乱状況が待ち受けている。アサド政権による反政府勢力「大虐殺」は目前。既に500人以上が治安部隊の発砲、暴力によって殺害されたとされるが、数千人規模の虐殺を敢行しても体制維持をはかるだろう。
また、一番の問題は、デモ隊自身が何のためにデモをしているのか理解していない(のではないか)、ということ。当初、より広範な自由、すなわち警察国家からの脱皮を求めた平和的な要求だったものが、公然と大統領放逐を求め、体制転覆を目指すスローガンに変化した。仮に体制転覆が成功しても、その後にこの難しい国を治める新たな政治勢力は出現せず、ムスリム同胞団が台頭して不安定になることが自明である。明るい見通しや期待を持つことができない。
<3>イエメン
早い段階から反政府デモ、「大統領は出て行け」デモが起きていたが、日々その規模は拡大。全国で百万人、2百万人という想像を絶する大デモが毎週起きている。というのに大統領は一向に辞めない。
もともと不思議な国であるから、この不思議な現象も小生は納得しているが、果たして、わが国民にどう説明したらよいのやら。論文になるのできょうのところは割愛。

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