アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
16日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ エジプト大統領、「同国は起こり得る水不足に備え、措置を講じた」と述べ、エチオピアに対してルネッサンス・ダムに関する拘束力ある合意に同意するよう求める。エチオピアは同ダムと国境に関する嫌がらせ行為を名指しせずに非難し、報復を警告
■ 米国防総省報道官はアルジャジーラのインタビューの中で、「アフガニスタンにおける軍事的解決はない」「米のアフガンのパートナーに対する支援の性質は変わるだろう」と述べる。アフガン政府、「タリバンによる停戦の提案を拒否した」と発表
■ レバノンのハリーリー元首相、大統領が組閣案を拒否したことを受け、組閣を断念。大統領は「元首相は事前に辞退することを決定していた」と非難。レバノン・ポンドの下落が続く
■ 国連安保理、リビアの選挙実施の根拠となる憲法原則を明確にするよう求める。リビア国民合意政府首相は選挙の予定通りの実施を確認し、「傭兵の撤退の時期に関して諸外国勢力の意見が対立している」と述べる
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―ブリンケン米国務長官とルドリアン仏外相は、イランとの核合意の立て直しをめぐる現在の取り組みについて(ワシントンで)協議した。一方、ウィーンでの協議(の第7ラウンド)の再開日程に関して米とイランの立場が乖離しており、米は再開を急いでいるが、外交筋によると、イランは協議再開を8月5日のライシ新大統領の就任後としている。マレー米イラン担当特使は、「イランの核開発計画が取り返しのつかない段階に至る前に、イランは速やかに事を決すべきだ」「近いうちに合意に至らなければ、交渉をより混乱させる」と述べた。
―レバノンで組閣を委任されているハリーリー元首相は、組閣を断念することを発表し、アウン大統領との会談後、「合意の余地はない」「アウン大統領は提出した閣僚名簿に重大な変更を提案し、それが組閣を断念させた」と述べた。一方、大統領府は、「元首相は、組閣の陣容の変更を検討する準備ができていない」「アウン大統領は、可及的速やかに必要な議会の協議の日程を決定する」「元首相が組閣に関する大統領との合意の原則を拒否したことは、組閣の辞退を事前に決定していたことの証左だ」と表明した。これを受け、闇市場でのレバノン・ポンドの対ドル取引レートは2万ポンドを超えた。
―ルドリアン仏外相は、「レバノンの政治指導者らが組閣をめぐる危機を打開できないことは、悲劇的な展開だ」「政治指導者らは自国の危険な状態を認識することに完全に失敗した」と述べた。
―ハリーリー元首相の上記の発表後、ベイルートでデモ隊が一部の道路を封鎖し、タリーク・ジャディーダで軍が道路再開のために若者を解散させようとしてゴム弾を使用、若者らは軍に投石した。また、ベイルートとサイダ間の湾岸道路を多くのデモ隊が封鎖し、その後、治安部隊が道路を再開させた。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―特になし
○ エジプト情勢
―シーシー大統領は、(生活水準向上のための)「尊厳のある生活」計画の開始に際する演説の中で、「エジプトの国家安全保障の侵害は超えてはならない一線であり、賢明な振舞いと平和的志向は、我々の国力の侵害を誰かに許すものではない」「国力を守るために様々な選択肢を有しており、それは状況に応じて決定される」「我々は国内で水を確保するための措置を講じ、水一滴をも守るために数十億エジプト・ポンドを割り当て、また、運河の補強計画に約6百億エジプト・ポンドを割り当てた」と述べた。
○ 中東和平(占領地情勢)
―特になし
○ 国際テロ・過激主義情勢
―カービー米国防総省報道官はアルジャジーラのインタビューの中で、「タリバンは、バイデン大統領が4月にアフガニスタンからの米軍撤退を決定するより前、更にバイデン氏が大統領になる前ですら、アフガンの一部の地域で戦果を挙げていた。タリバンの現在の前進は驚くべきことではない」との見方を示した。また、「アフガンの紛争の解決に軍事的解決はなく、交渉による政治的解決を通じたものであるべきだ」としつつ、「アフガン軍は自身が持つ能力やタリバンに対する優位性を示す時が来た」と述べた。更に、「米はアフガンのパートナーを支援するつもりだが、その支援の性質はこれまでとは異なるものになる」「現在、アフガンからの米外交団の引き上げは望んでいない」と述べた。
―アフガン政府の和平協議代表団のナーディリー広報担当は、「タリバンは政府が拘束しているタリバン戦闘員約7千人の解放と国連のブラックリストからタリバン幹部の名前を除外することを条件に、3か月間の停戦を提案した」と明らかにした。
―アフガンの治安筋によると、カンダハールの刑務所が攻撃されたことを受け、タリバンの幹部を含む収監者240人の同刑務所からカブールへの移送が完了した。一方、アフガン国防省は、「西部のヘラート州で空爆を実施し、タリバン戦闘員18人が死亡した」と述べた。
○ マグレブ情勢
―国連安保理はリビア情勢をめぐる会合を開き、閉会後の声明の中で、「12月に予定通りに総選挙を実施することを含む、リビア当事者間で合意したロード・マップへの支持を改めて表明し、選挙実施の根拠となる憲法原則を明確にするために、直ちに措置を講じるよう」求めた。また、選挙を妨害したり、政治移行プロセスを崩壊させたりする個人や組織に制裁を課す意向を明らかにした。ドベイバ・リビア国民合意政府首相は会合中、期日通りの選挙実施の必要性を確認し、また「外国人傭兵がリビアに存在し続けていることを確認しており、直ちに、一斉に退去する必要がある。関係諸国に対し、自国民が外国(リビア)で行ったことに対する責任があると指摘する」と述べた。
―トーマスグリーンフィールド米国連大使は上記会合で、期日通りの選挙の実施の必要性を確認し、「リビアから傭兵及び外国軍部隊は即時、撤退すべきだ」と述べた。また、露国連代表代理は、リビアからの全外国軍部隊の段階的・計画的な撤退を求めつつ、「リビアにおける現在のパワーバランスが失われないようにし、新たな軍事的エスカレートのいかなる脅威もないとの保証があるべきだ」と述べた。
○ トルコ情勢
―特になし
<その他の重要ニュース要旨>
―フセイン・エチオピア外務担当国務相は、「エチオピアはルネッサンス・ダムや国境、ティグレ州における危機に関する増大する嫌がらせなどの様々な課題に直面している」と述べ、名指しせずに「支援を提供せず、エチオピアを抑圧するキャンペーンを実施している」と非難し、「このような組織や勢力に対する包括的な措置を講じることを余儀なくされている」と警告。また、「これらの組織や勢力は人道支援の名目でティグレ人民解放戦線(TPLF)に武器を供給しようとしており、政府は国家の安全のために様々な決定を見直すつもりだ」と述べた。
―マハディ・スーダン外相は、国連安保理に対して「責任を負うよう」求めた。また、「エチオピアは国際法や善隣の原則に反して、スーダンの平和と安全を脅かしている」と述べ、「スーダンはルネッサンス・ダムの危機をめぐる問題を、国連の人権理事会に提起することを検討している」と明らかにした。
エリコの目
―プライス米国務省報道官は13日、「米国はイランと『間接的にではあるが、活発に』、イランにおける米国人収監者の釈放に向けた交渉を行っている、それは核合意に関する交渉とは分離されている」と述べた。この件については最近、米国のイラン問題特使が、「全ての米人収監者の解放を求めている。部分的な釈放は受け入れられない」と述べる一方、イラン政府報道官は「米やその他諸国に制裁措置違反で収監されているイラン人との交換を交渉している」と明らかにしていた。(アラビー21)
中東の新型コロナ動向
―WHOは、「いくつかの中東諸国で新型コロナ感染の拡大がみられることは、それが変異株によるものであること、及びワクチン接種が普及していないことを考慮すれば、深刻な事態を招く恐れがある」と警告した。WHOによると、中東全体では8週連続で感染者数、死者数は減少している。しかし、リビア、イラン、イラク、チュニジアで顕著な増加がみられるほか、レバノンとモロッコで今後急拡大が予想されている。(アッシャルク・アルアウサト紙)
<特記事項・気付きの点>
―特になし