アルジャジーラ・モニタリング
<ニュース・ヘッドライン>
24日0600JST「ミッドナイト・ニュース」
■ 米特使がスーダン政府高官らと協議を行う中、自由変革勢力の「中央評議会」派は政府への信認を再確認し、首相と国民憲章グループはそれぞれ「(政府の)解散について譲歩しない」と確認
■ イラク選管、新たな不服申し立てを受け入れる。選挙結果を拒否するデモの組織委員会は選管に対し、「盗まれた票を取り戻すため」に3日間の猶予を与える。サドル潮流は国を混乱に引きずり込むことを警告
■ チュニジア労働総同盟、大統領の提案した対話の形を拒否し、「同盟の参加なしにチュニジアの未来を描くことは誰にもできない」と述べる
<特定関心項目報道ぶり>
○ 日本関連報道
―特になし
○ イラン・イラク・シリア情勢
―イラク選管は23日、「議会選挙の結果に対して1400の不服申し立てが行われた」として、投票所234か所で再集計を行うことを発表。こうした中、選挙結果に抗議するデモの組織委員会は選管に対し、「盗まれた票を取り戻すため」に72時間の猶予を与え、23日夜に出した声明で「デモ参加者らは、盗まれた権利を取り戻すために適切だと思われる行動に出る」と警告した。
―「サドル潮流」指導者のサドル師はツイッターで、「議会選挙の結果に納得していないことを理由に国を混乱に引きずり込み、市民の平和を揺るがすこと」を警告し、「国連安保理の選挙結果への支持は、(選挙という)民主的プロセスにおける捏造を主張する者たちを黙らせることが期待される」と述べたほか、「選管、司法および連邦裁判所の仕事に圧力をかけたり、干渉することのないよう」呼びかけた。
―シリア北西部イドリブ郊外ジャバル・ザーウィヤ地区で23日、露軍機がバーラ、カンサフラ両村を5回空爆し、広範囲で物的損害が生じた。地元筋によると、今回の攻撃は19日にイドリブの緊張緩和地帯に位置するバーラ村のトルコ軍拠点の周辺が空爆されて以来のもの。
―シリア民間防衛隊(ホワイトヘルメット)は、「政府軍と露軍が23日朝、イドリブドリブ北郊マアッラ・ミスリーンの農場の飼料貯蔵庫と製材所を長距離ミサイルで攻撃し、11歳の男の子が負傷した」と発表。
―アカル・トルコ国防相はブリュッセルで開かれたNATO国防相理事会に出席した後の記者会見で、「トルコ軍がイドリブにいることは、シリア政府軍による虐殺と、新たな避難の波の発生を防止することに貢献している」「PKK(クルディスタン労働者党)がシリア北部から仕掛ける攻撃に対し、トルコは適切な時と場所で反撃する」と述べた。またイドリブ情勢については、「違反行為や衝突が時折起きているものの、停戦は概ね維持されている」「エルドアン大統領がプーチン露大統領とソチで会談した後、(イドリブの)情勢はより落ち着いた」とした。
○ サウジ・イエメン・湾岸情勢
―特になし
○ エジプト情勢
―特になし
○ 中東和平(占領地情勢)
―イスラエルのイディオト・アハロノト紙は23日夜、「東エルサレムの領事館再開に固執することで、米はイスラエル政府と対立こととなった」「バイデン政権はイスラエル側の猛烈な反発を受けている。とりわけ右派は、『この決定は脆弱な連立政権の崩壊に繋がる』としている」と報じた。これに先立ち、ラピド・イスラエル外相はブリンケン米国務長官とワシントンで13日に会談した際にエルサレムの米領事館再開を認めたが、イスラエルのメディアによると、ベネット首相は激しく反対する立場を示している。
○ 国際テロ・過激主義情勢
―AP通信によると、アフガニスタン東部ナンガルハール州の州都ジャララバードで23日、タリバンの車両を狙った爆発物による待ち伏せ攻撃が発生し、少なくとも民間人2人(うち子供1人)が死亡、4人が負傷した。
○ マグレブ情勢
―チュニジア労働総同盟は、「サイード大統領の提案した国民対話の形を拒否する」と発表した。タッブービー同総同盟事務局長は、「誰にも『白紙の小切手』を与えることはない」「総同盟は市民の委員会を通じて行われる対話には参加しない」「経済・社会的権利を守る総同盟の参加なしにチュニジアの未来を描くことは誰にもできない」と述べ、「大統領がチュニジアの若者及び社会と行うと提案した対話は、諸組織を通じて行われるべきだ」と指摘した。
○ トルコ情勢
―エルドアン大統領は23日、クーデター未遂を支援したとしてトルコが4年にわたって拘束している実業家オスマン・カワラ氏の釈放を求めた(米独仏を含む)10カ国の駐トルコ大使を「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」に指定するよう外務省に指示し、「彼ら(大使ら)はトルコを理解すべきだ。さもなければ出ていくべきだ」と述べた。
<その他の重要ニュース要旨>
―在スーダン米大使館は23日夜にツイッターで、「フェルトマン米『アフリカの角』地域担当特使はハルツームで統治評議会のブルハーン議長とダガロ副議長、ハムドゥーク首相と会談した」「特使はスーダンでの民主的な民政移管への米の支援を確認し、各当事者に対し(2019年8月に定まった暫定憲法)『憲法宣言文書』の履行に向けた協同の再確認を促した」と述べた。
一方で統治評議会の声明によると、ブルハーン議長は米特使との会談で、「選挙及び民主的変革に向けて、国軍は移行期を守る」「民主的移行の妨害するいかなるクーデターの試みも容認しない」と確認した。またスーダン内閣は声明で、「国民が自らの代表を選ぶ自由で公正な選挙の実施について、ハムドゥーク首相の考えは米側と一致している」とした。
―統治評議会と内閣の解散について、ハムドゥーク首相の広報室は、「内閣の解散に関して出回っている情報は不正確だ」「首相には移行諸機関の今後を決める権限がなく、各方面との連絡及び会談を続けている」と述べた。一方で自由変革勢力(FFC)の「国民合意憲章グループ」幹部のミナウィ・ダルフール地方長官は、「統治評議会議長と首相は解散で一致したが、手順で相違がある」と述べた。またFFCの「中央評議会」派の広報担当は、「国民が支援を表明している内閣の解散は、政治的にも憲法的にも難しい」とした。
エリコの目
ー「欧州はなぜチュニジアにイエローカードを突きつけたのか」。ジュンーヌ・アフリック誌がチュニジアの政変を巡る欧州・米国の政治的立場を分析した。記事によれば、EUは直ちにチュニジア議会の再開を要求しているのではなく、全当事者の対話によって、現行の大統領独裁状況を改善することを勧告している。しかし、チュニジア国民の受け止め方としては、「内政干渉」と感じる勢力も少なからずいる。(アルクドゥス・アルアラビー紙)
<特記事項・気付きの点>
―特になし