2021年9月14日 (No.21167)

アルジャジーラ・モニタリング

<ニュース・ヘッドライン>

14日0600JST「ミッドナイト・ニュース」

■ 仏、自国民のアフガニスタン退避におけるカタールの役割を賞賛。カタール外相は「国民和解はアフガニスタンの安定実現における唯一の『安全弁』だ」と確認。米国務長官は「タリバンは、アフガニスタンが米とその同盟諸国に対する攻撃に利用されることを阻止すると約束した」と述べる

■ カタールと国連の人道支援航空機がカブールに更に到着。国連事務総長は「各分野においてタリバンと連絡する重要性」を確認し、「各国がアフガニスタン支援のため10億ドルの拠出を表明した」と述べる

■ IAEA、イラン核施設の監視に関する合意について協議。イランは「核交渉を継続する方法について協議を行った」と発表

■ チュニジア大統領、青年相を解任。ナハダ運動は「大統領選挙及び議会選挙を早期に実施するよう」大統領に呼びかける。チュニジア労働総同盟は「国を統治して好き勝手することは誰にも出来ない」と述べる

<特定関心項目報道ぶり>

○ 日本関連報道

―特になし

○ イラン・イラク・シリア情勢

―国際原子力機(IAEA)の定例理事会が13日に開始し、グロッシIAEA事務局長は記者会見で、「イランから核活動に関する約束は何も得られなかった」「イラン新政権は、核開発計画について強硬な意見を有している」「新政権と率直で明確な協議を行うことが必要だ」「私はIAEAの事務局長として、イラン新政権と会談して我々の考えを伝えるべきだが、我々もまた彼らの考えを聞くべきだ」「12日の訪問での唯一の収穫は、核施設に設置されているIAEAの監視カメラのメンテナンス(と記録媒体の交換)でイランと合意したことだ」と述べ、「懸案事項の協議のため近くイランを再訪問する」と明らかにした。

―イラン核問題をめぐる交渉のモラEU代表は、IAEAとイランが核施設の監視カメラのメンテナンス等について達した合意を「合意は外交の余地を作る前向きな一歩だ」と歓迎し、「EUは、可及的速やかな(イランの)核合意への完全復帰及び履行を目的としている」と強調した。

―イラン外務省のハティブザデ報道官は、「イランとIAEAの関係は技術的なもので、グロッシ事務局長の訪問と協議は前向きで良好なものだった」「イランとグロッシ事務局長は、双方の関係を政治から離れた技術的な枠組みで維持することで合意した」「IAEAとの理解に達することは議会の(可決した)法律に反せず、包括的保障措置協定の枠組みを超えない」と述べ、「イランはこの数年間IAEAと技術的な関係と良好な理解を有し、何者かがその関係に影響することを容認しない」「イランのウィーン協議への参加意向は新政権になっても変わっていない」「各当事者はウィーン協議に参加するにあたって現実的なビジョンを持つべきだ。イランは核合意の枠外で新たな事項を受け入れない」と強調した。

○ サウジ・イエメン・湾岸情勢

―特になし

○ エジプト情勢

―特になし

○ 中東和平(占領地情勢)

―特になし

○ 国際テロ・過激主義情勢

―カタールの首都ドーハを訪問してタミーム首長と会談したルドリアン仏外相は、アフガニスタンからの仏人の退避と、和平プロセスの強化におけるカタールの役割を賞賛したほか、両国間関係や域内外情勢について協議した。
ルドリアン外相はハーテル・カタール外相補佐官に案内されてドーハのアフガニスタン難民用の仮設住宅を訪問し、居住環境や提供されているサービスを視察した。またルドリアン外相はツイッターで、「13日朝にドーハで、10日の退避任務によりアフガニスタンを出国した仏人とその家族と会った。彼らはその後カタールを出国してパリに到着した」と投稿。

―ルドリアン仏外相と13日に会談したムハンマド・カタール副首相兼外相は共同記者会見で、「アフガニスタン暫定政府との12日の会談では、『孤立することが正解ではなく、(タリバン政権の国際)承認は現在の優先事項ではない』と伝え、国際社会に関わって繋がりを持つよう促した」「国民和解は、アフガニスタンの安定実現における唯一の『安全弁』だ」「我々は当初より、仲介役としてのカタールの役割は常に中立的であることを確認してきた」「カタールは、(タリバン)新政権の承認に固執することは誰にも資することがないと確信している。より重要なのは、タリバンがその発言内容を行動に移し、前向きな歩みを見せることだ」「タリバン側は時間がかかることを承知の上で、国際社会に関わることと、各国大使館の再開を望んでいる」と述べた。
またムハンマド副首相兼外相は、「アフガニスタンへの人道支援物資の搬入を保証する国際的な取り組みを強化するよう」呼びかけ、「アフガニスタンでの人道支援において、カタールは国連の諸機関と協力する」と確認した。

―ルドリアン仏外相はムハンマド・カタール副首相兼外相との共同記者会見で、仏人のアフガニスタン退避におけるカタールの役割に謝意を表し、「仏人とその家族の退避完了と、『(タリバンとは異なる)価値観を持っているがために危険に晒されているアフガニスタン人の保護』に向けて、カタールと仏は協力と連絡を続ける」「仏は地域の安全と安定を重視している」と確認した。

―ブリンケン米国務長官は13日の下院外交委員会の公聴会で、アフガニスタン駐留米軍の撤収について「バイデン大統領は、アフガニスタンの戦争終結と、(情勢の)激化どちらかの選択を迫られた」「米軍のアフガニスタン駐留を延長することが有効であり、アフガニスタン政府とその軍がより強固になると示すものは何もない」「米がアフガニスタンの沼で更に10年間溺れること以上に、競合国や敵を喜ばせることはない」「タリバンは今年の1月21日に、2001年9月11日の攻撃以降で軍事的に最も強い状態だった」「米軍撤収後にカブール国際空港を出発した航空便の運航は、米・カタール・トルコ間の協力によるものだ」「我々は外交活動をカブールからドーハに移し、米人およびアフガニスタン人のカブールからの退避支援に引き続き取り組んでいる」と述べたほか、「タリバンが渡航の自由の保障と、女性と少数派の権利を尊重して、テロ対策を講じると予測している」「タリバンは、アフガニスタンの領土がテロリストによる対米・同盟諸国の攻撃に利用されることを阻止すると約束した」と確認した。
ブリンケン長官は14日に上院外交委員会の公聴会に出席して、駐留米軍の撤収について証言する予定。

―アフガニスタンへの人道支援について協議する国際会議が13日にジュネーブで開かれ、主催したグテーレス国連事務総長は、「アフガニスタン支援のため、各国が計10億ドルの資金拠出を表明した」と発表し、「人道支援活動と国連職員の保護についてタリバンから保障を得た」と述べた。グテーレス事務総長は会議終了後の記者会見で、「(各国から)非常に意義深い支援の表明があった」「アフガニスタン経済の崩壊を防ぐべく、国際社会はその動きを促す方法を見出すべきだ。アフガニスタン経済の崩壊は、同国の社会と地域の安定に深刻な影響を及ぼす」「様々な困難にも関わらず、国連はアフガニスタンに残って支援の提供を続けるべきだ」「国連はアフガニスタン国民の支援を主導している」「現段階においては、タリバンとの連絡なくしてアフガニスタンで人道支援を確保することは不可能だ」「国連はタリバンとの連絡チャンネルを開いた」と述べた。

―世界保健機関(WHO)の支援物資21トンを積んだカタール航空の複数の航空機がカブール国際空港に到着した。これに先立ち、(以前アフガニスタンを出国した)職員らが搭乗する国連世界食糧計画(WFP)の航空機4機が同空港に到着した。関係者によると、WFPは同国の諸都市での人道支援物資の配布を再開する。

○ マグレブ情勢

―チュニジア大統領府の声明によると、サイード大統領は、青年・スポーツ・職業訓練相代行のセハーム・アイヤーディ氏を解任した。理由は発表されず。
こうした中ナハダ運動は、「憲法の停止及び変更を拒否する」と確認し、「憲法を遵守し、大統領選挙及び議会選挙の早期実施に向かうよう」大統領に呼びかけた。

○ トルコ情勢

―特になし

<その他の重要ニュース要旨>

―特になし

エリコの目

―エジプトの軍部と大統領は、1954年の革命以来エジプトの市民生活に大きな影響力を及ぼしてきた。現シーシ政権は、この体制をそのまま引き継いだため、政権と軍部の民間の経済活動への介入度合は益々強くなった。政治活動は萎縮し、民間の活力は大きく損なわれている。(アルアラブ紙)

https://alarab.co.uk/node/257216

<特記事項・気付きの点>

―特になし

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